Tue, April 07, 2009 stanford2008の投稿

桜井淳所長から親しい友人のX先生への手紙 14-いま北朝鮮をどのように受け止める必要があるのか-

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X先生



推察するに、大部分の日本人は、日常的に報じられるマスコミ情報から、北朝鮮政府の政策に、深い違和感と疑問を感じているに違いありません。私もそのように受け止めています。確かに、戦後、繰り返された①日本漁船拿捕や②日本人拉致の現実を直視すれば、誰しも、ひどいと感じることでしょう。いまの北朝鮮は、③カースト制度に近い国民差別化政策、④世界でも希な世襲指導者の存在、⑤国民の飢えで維持されている軍事独裁政権、⑥日米韓等の資本主義国への敵対政策、⑦日米韓等へのミサイル攻撃網、⑧核兵器保有等の異常な条件の重ね合わせの中で成立しており、いずれも歴史的に否定されたか否定されつつある価値観の呪縛の中で存続している世界で最も好ましくない国家のひとつと位置づけられることでしょう。しかし、それは、日本人の座標系で考えた場合の評価に過ぎません。ひとつの真実でも、それを見る座標系の設定座標によっては、異なった見え方がするものです。推察するに、北朝鮮の座標系で見れば、(1)歴史的に陸側からも海側からも侵略された被害国、(2)日米帝国主義による侵略戦争の犠牲国、(3)1923年の関東大震災時における朝鮮人大虐殺(日本人は、残念なことに、朝鮮人を犬猫のように扱い、殺害しました)、(4)いまの日本でも継続されている根深い朝鮮人差別等の問題(国家としてそのような政策を推進しているわけではありませんが、残念なことに、戦時中の価値観が世代を超えて引き継がれており、いまの中学生ですら、親の口癖をそのまま真に受け、朝鮮人を蔑むような言葉を平気で口にしています)が浮上してきます。日本人には、(2)(3)(4)に対する反省が足りず、特に、(3)(4)における人間の尊厳を否定するかのような取り扱いに対しては、いくら反省してもし過ぎることはなく、日本人の厚顔無恥には、恥ずかしさすら感じます。そんな世界の政治経済の中で、北朝鮮政府は、大陸間弾道弾と人工衛星打ち上げロケットの両刃の機能と将来を拓く"得体の知れない飛行物体"を打ち上げました。そのような政治的状況は、米国による北朝鮮政策の失敗によってもたらそれたものであり、日米の対応は、後手後手に回っており、政府命令を受けての陸上自衛隊による落下物迎撃ミサイルの配備は、発生確率とリスクを無視した非科学的対応であり、費用対効果比の成立しない愚行であって、なおかつ、、北朝鮮の問題を利用した軍事化政策の始まりのように見られます。



桜井淳

Tue, April 07, 2009 stanford2008の投稿

桜井淳所長から親しい友人のX先生への手紙 13-第18回遮蔽セミナーに参加した日製のエンジニア-

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X先生



3月30日に第18回「【高速PCにる計算演習】モンテカルロ法による遮蔽安全解析セミナー」を開催しました。日製(茨城県には日立市があるため、日立製作所については、会話や文書における混乱や誤解を避けるために、日製と略します)から2名のエンジニアの参加がありました。2名とも30歳台半ばで、セミナー中のやり取りから察するに、大変優秀なように感じました。熱心に計算し、質問していました。このセミナーに、過去に、日製の原子力部門から数名のエンジニアの参加がありましたが、今回の参加者の所属部門は、医療機器開発部門で、主な業務は、シンクロトロン等の加速器の開発を担当しているとのことです(正式な所属部門名の中にはPTという略が入っており、それは、陽子診断(Proton Therapy)の略です)。同部門には計約100名が従事しており、そのうち粒子輸送計算を担当しているエンジニアは、2名ということで、今回は、その2名が参加したことになります。今回のセミナーの目的は、高エネルギー中性子による非常に厚い鉄やコンクリート等の遮蔽物質の深層透過計算であって、計算効率が最大になる最適計算条件の設定法と計算結果の評価法の習得です。中性子や光子の輸送計算は、相互作用数からして、比較的やり易いのですが、医療照射に利用する電子や陽子や重イオンのような荷電粒子の輸送計算は、中性子や光子の場合よりも相互作用数が少なくとも二桁も多いため、計算時間がかかり過ぎ、1日程度のセミナーではまったく対応できません。しかし、これから、陽子医療照射施設が各県一施設建設されることになっており、そのような社会的需要に応えるために、将来は、そのような問題の解決のためのセミナーを開催したいと考えています(本欄バックナンバー参照)。



桜井淳

Tue, April 07, 2009 stanford2008の投稿

【事務所報告】高速PCによるモンテカルロ計算演習セミナーに参加した"招かざるお客様"の生態学

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2002年から今日まで高速PCによる各種モンテカルロ計算演習セミナー(本欄バックナンバー参照)の講師を務めた桜井淳所長からの報告を総合すれば、"招かざるお客様"(参加してもらいたくない迷惑な人達)とは、次のような人達のことです。


(1)募集要項に反してPC使用経験のまったくない人(原研那珂研研究者)。

(桜井所長は、緊急策として、そのような人に対しても、操作手順をひとつひとつ指示して、他の参加者と同じように学べるようにしました。)


(2)募集要項に反してOSと処理速度(何GHzか)の報告をしてこない人(原研東海研研究者や阪大レーザー核融合研教員等)。

(申込者の中には、報告義務の意味を理解できていない人がおり、OSは、作成したプログラムインストール用CDが指定OSのオートインストーラーによって確実に読み込めることの確認であり、処理速度は、モンテカルロ計算には時間がかかるために、他の人達と同じように計算実行が可能かどうかの確認のためで、中には、いまでも、2-3GHzの時代に、無断で、150-300MHzのPCを持参する人もいましたが、桜井所長は、緊急策として、そのような人達に対しても、ヒストリー数を減らして計算させ、他の人達と同様に、定量的な議論をしました。)


(3)募集要項に反して指定OS以外のOSを搭載したPCを持参した人(原研東海研研究者)。

(桜井所長は、プログラムのインストールができないため、ルール違反を理由に、退室命令を出しました。)


(4)当日無断欠席する人(原研大洗研職員やサイクル機構東海事業所職員等)。

(桜井所長は、本人と上司に注意し、それでも改まらない組織については、参加させない方針です。)


(5)募集要項に反して組織内の共用PCを持参して設定条件がまったく分かっていない人(サイクル機構東海事業所職員)。

(桜井所長は、インストールできなかったため、対応策がなく、偶然、サイクル機構東海事業所が開催組織場所に近かったため、正常なPCを取りに行かせました。)


(6)当日持参したPCが壊れていた人(企業から原研への出向者)。

(桜井所長は、開催組織内の人であったため、すぐに、正常なPCを取りに行かせました。)


(7)当日持参したPCのCDドライブが作動不能だった人(中部電力エンジニア)。

(桜井所長は、緊急策として、インストールした人のPCからUSBで記憶させ、CDが不能な人のPCにそのUSBの情報を読み込ませ、予定どおり、計算演習を行わせました。)


(8)インストール用プログラムと入力データを記憶させたCDの手を触れてはならない面に指紋を付けてしまった人(高エネルギー研研究者)。

(桜井所長は、インストールしても正常に計算できない原因が分からず、午前中の2時間、原因究明を行い、手を触れてはならない面に指紋が見えることに気付き、テッシュペーパーでていねいに拭き取り、再インストールしたところ、正常に計算できました。)


(9)セミナー進行の秩序を乱す人(原研東海研研究者)。

(桜井所長はその場で注意しました。そのようなことが繰り返されるようであれば、その組織からの参加を認めない方針です。)


(10)講師の注意事項をまったく聞いていない人(日製の遮蔽部門エンジニア等)。

(桜井所長はその場で注意しました。そのようなことが繰り返されるようであれば、その組織からの参加を認めない方針です。)


(11)講師に対して失礼な発言や態度の人(三菱重工業エンジニア等)。

(桜井所長はその場で注意しました。そのようなことが繰り返されるようであれば、その組織からの参加を認めない方針です。)


なお、桜井所長の国際会議や研究会の開催経験に拠れば、どのように注意して対策を立てても、約6割の参加者はごく普通の問題ない人達ですが、約3割の参加者は"招かざるお客様"であり、残りの約1割の参加者はかくありたいと願うくらい優秀な人達でした。問題は約3割の"招かざるお客様"への対応です。


桜井所長は、そのような人たちに対しては、直接本人と上司にそのことを報告して注意し、それでも改まらない場合には、該当組織から参加させない方針です。桜井所長が求めている人物は、真面目で、誠実で、礼儀正しく、向学心のある人で、特別な条件を課しているわけではありません。


2007年4月からのセミナー有料化にともない(2002年4月から2007年3月までの約400名の参加者に対しては、研究目的のセミナーであったために、無料でしたが、それ以降の約200名に対しては、有料です)、ピジネスに徹するため、セミナー事務局担当者は、参加申込者に対して、2-3回のメールのやり取りの過程から、たとえ定員に満たなくても、上記条件を満たしていると受け止められる人達しか参加を認めないようにしています。これまでの約600名からのメールでの申込内容(組織名・所属・メールアドレス・参加目的)は、すべて保存してありますので、当時のセミナー進捗状況をいつでも再現することが可能です。

Fri, April 03, 2009 stanford2008の投稿

【事務所報告】桜井淳所長の最近の講演内容-現代科学技術論シリーズ(1)地球環境悪化防止の政治学-

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【講演要旨】世界の人口は、1700年代後半から目立った増加傾向になり、1800-1930年まで際立った直線増加、それ以降、急激な直線増加を示し、今日、66億人にも達していますが、その傾向とのプラスの相関関係を持つような変化を示しながら、"地球温暖化ガス"と認定されている二酸化炭素の排出量が増加していますが(スヴァンテ・アレニウスは、1896年、ピッツバーグのアレゲニィ天文台での赤外線観測におけるサミュエル・ラングレー&フランク・ワシントン論文を基に、二酸化炭素濃度と温室効果との相関関係について、初めて言及しました)、両者の増加傾向は、1760-1836年に遂げられた"産業革命"が起因となっていると解釈され、特に、1900年代半ば以降の世界的な高度経済成長期における米国に代表される多エネルギー消費社会の形成が、石炭や石油の大量消費を加速したため、致命的とも言える地球環境破壊をもたらしましたが、世界の二酸化炭素の排出量の割合は、米国22.1%、中国18.1%、ロシア6.0%、日本4.8%、インド4.3%となっているため、今後の米国と中国のエネルギー政策によって、地球環境の将来が左右されてしまうと言っても過言ではなく(1997年に策定された「京都議定書」では、日本の二酸化炭素排出量は、1990年比マイナス6%となっており、それは、2010年には、マイナス12%を意味しています)、日本がいくら原子力発電の割合を拡大しても、それによる世界的貢献は、無視できるくらい小さく、日本が積極的に貢献しなければならないことは、中国へのエネルギー技術を中心とした技術供与であり、特に、中国国土の広大さからすれば、エネルギー技術の将来を見越して、太陽光発電や風力発電の推進のための技術だけでなく、機器の供給まで分担する必要があるように思えます(先進国における二酸化炭素1t当たりの削減費用は、約25万円となり、日本は、年間50万tの削減となれば、約1250億円にも達しますが、排出権をロシアから半額に相当する金額で購入する等の対策も実施中です)。
Fri, April 03, 2009 stanford2008の投稿

桜井淳所長から親しい友人のX先生への手紙 12-学位審査対象は「ジャーナルに数編」の意味-

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X先生


私の理学と社会科学での学位審査の経験からすると、学位審査基準は、大学や専門分野や指導教官によって、大幅に異なります。しかし、相対的に、人文社会科学系の方が理工系よりも厳しく、厳しいどころか、10年くらい前までは、東大でも出さない方針でしたが、最近、少しずつ出すようになっています。社会科学で博士学位を取得するのは簡単なことではありません。大学の理工系教員は、ほとんどが博士学位を取得していますが、人文・社会科学系教員は、約半数くらいです。東大でも半数くらいです。学位取得は、教授への昇任の条件や博士課程学生の教育条件にはなっておらず、その意味では、博士学位は、研究者としての物の考え方の範囲の話のように思えます。持っているからどうの、持っいないからどうのということはないでしょう。本人がそれでよいと考えていれば、それでよいことであって、他人がとやかく言えることではありません。一般論として、人文社会科学系は、取得しにくいと言えます。理工系と人文社会科学系とも、コース博士の場合には、博士課程で所定の単位を取得し、査読付論文複数編(2-3編)ですが、論文博士の場合には、どの分野でも、コース博士よりも厳しく、査読付論文数編(5-6編)と考えられています。私は、東大大学院人文社会系研究科の先生に面会した際、まったく意識していませんでしたし、質問していませんでしたが、話の流れから、そのような点に触れ、その先生は、「ジャーナルに数編」と言っていました。「ジャーナル」とは、日本宗教学会等の学会の査読付学会論文誌に掲載された原著論文のことで、そのような論文が数編というのが、ひとつの目安ということです。その目安は、結構、厳しいでしょう。博士課程在学中にその条件を満たすことは、不可能に近く、修了後3年、あるいは、それ以上かかるかもしれません。東大大学院人文社会系研究科での学位審査では、私が7年前に確認したことですが(本欄バックナンバー参照)、東大大学院人文社会系研究科博士課程修了予定者か修了者、それに、特別な場合(推察するに、東大学部卒で、その後、東大で研究して、それなりの実績を有する研究者)となっています。私は、7年前、東大大学院人文社会系研究科で論文博士で学位審査を受けようとしましたが(本欄バックナンバー参照)、そのような事情によって、東大大学院総合文化研究科に頭を下げざるを得ませんでした。神学・宗教学で博士学位を取得するのは、大変難しく、50歳台半ばの著名な中沢新一先生(多摩美大教授)や島田裕巳先生(元日本女子大教授、東大先端研客員研究員)も、まだ、取得していないことからして、困難さがよく分かるものと思います。私は、いまのところ、そこまで考えていません。ただ、すべての煩悩を捨て去り、原著論文がまとめられるようになるように、黙々と、精進するのみです。


桜井淳
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