NSJコラム
3月27日 8:30

「政治の季節」再び
 太郎と一郎“不美人投票”



再び「政治の季節」が巡ってくるか…。25日の自民、民主両党参院国対委員長会談で、今週末27日予算関連4法案採決に合意。参院否決・衆院再可決の“セレモニー”を経て、同日中に成立の見通しとなった。今後は、5月連休後の補正予算提出、成立後の解散といったシナリオも視野に入るほか、29日投開票の千葉県知事選では世論の風が与野党いずれに向いているかの一端が示される。26日は秋田知事選の告示日にも当たり、何かと政治絡みの話題が集まりやすいタイミングを迎えている。

表(1)想定される主な政界関連スケジュール
3月27日
来年度予算案および税制改正法案成立見通し
民主党・小沢代表、代議士会と両院議員総会で疑惑などの背景説明
3月29日
千葉県知事選挙(自民は「自主投票」ながら森田健作候補実質支援説)
3月31日
麻生首相、記者会見で今後の政局運営を説明
4月2日
第2回G20(主要20カ国・地域)金融サミット(英ロンドン)
4月7日
民主党・小沢代表、就任4年目に
4月12日
秋田県知事選挙(自民が佐竹候補支持、民主は川口候補支援)
4月13日
町村派パーティー(高村派2日、伊吹派3日、山崎派7日、古賀派8日)
4月26日
名古屋市長選挙(自民が細川候補支援、民主は河村候補推薦へ)
5月
連休明け
補正予算案を国会提出へ
5月24日
さいたま市長選挙
6月3日
通常国会会期末
7月8日
サミット(主要国首脳会議、〜10日、伊マッダレーナ島)
7月12日
東京都議会選挙(告示は7月3日、7月22日で任期満了)
9月10日
衆議院議員の任期切れ
9月11日
与党が圧勝した2005年“郵政総選挙”から4年
9月15日
国連総会開幕(米ニューヨーク)
9月30日
自由民主党・麻生総裁任期切れ
11月14日
APEC(アジア太平洋経済協力会議)首脳会議(〜15日、シンガポール)
(各種資料、報道を基に本紙作成)

 次の財務大臣?ほえる スキャンダル合戦、いずれが優位?


とはいうものの、実際には、低レベルの「与野党スキャンダル合戦」の様相を呈しているのが、日本政界の現状。26日発売の「週刊文春」「週刊新潮」はいずれも、トップ記事で民主党・小沢一郎代表の金銭疑惑を取り上げていたが、一方の与党サイドでも、この日は、二階俊博経済産業相の「事務所無償提供」疑惑、平田耕一財務副大臣の「時価の2倍近くで株売却」疑惑が相次いで発覚し、対応に追われた。

GDP(国内総生産)のマイナス成長幅などにも表れているように、日本経済は「先進国で最も深刻な状態にありながら、最も対応が遅れている」(新光証券・瀬川剛エクイティストラテジスト)背景にも、政治の混乱が挙げられよう。

25日の東京市場では、一部トレーダー筋の間で、「(鈴木)イチローVS(小沢)一郎」という、たわいもない戯言(ざれごと)メールが出回っていたが、来るべき総選挙でも、「(麻生)太郎と(小沢)一郎の“不美人投票”」との感は否めないところか。

もっとも、先の相場の出発点でもあった2005年9月11日郵政総選挙から、間もなく4年。今年中にはいや応なく衆院総選挙は巡ってくる。

最も遅い場合でも、任期満了なら9月上旬投票。また任期満了前日の9月9日に解散すれば、「解散の日から40日以内」で10月中旬投票となる。相場の先を読む上で、意識しておくのに早過ぎることはない。

表(2)2005年郵政解散選挙(衆院選)の
「得票率」と「獲得議席比率」
 得票率獲得議席比率
[小選挙区]
連立与党49.2%75.7%
野党46.0%18.3%
[比例代表区]
連立与党51.4%55.6%
野党48.6%44.4%
2005年衆院選(小選挙区)の
大都市獲得議席数
 連立与党野党
東京都241
神奈川県171
千葉県121
埼玉県123
大阪府172
兵庫県120
福岡県90
(7都府県合計)1038
(出所:日興シティグループ証券)

 日興シティ、旗幟鮮明に


日興シティグループ証券は25日夕刻、元大蔵省財務官の榊原英資早大教授を招いて、機関投資家向け「第1回グローバル投資戦略セミナー」を開催した。

榊原氏といえば、仮に民主党内閣が実現した場合の財務大臣に擬せられる存在。日興シティグループ証券の藤田勉ストラテジストとのディスカッションのテーマも、当初は「民主党政権で日本株は上昇する」というもので、実は、民主党・菅直人代表代行が飛び入り参加する手はずが整えられていた(今回の民主党内の問題で実現せず)。

証券界には依然、民主党アレルギーも強く、民主党支持を公言するような格好となった今回の日興シティの対応は異例だが、藤田氏は「同じバラマキ政策でも、『増税を財源にばらまく』自民党よりも『省いた無駄を財源にばらまく』民主党の方がよりまし」と指摘。

榊原氏は、政策提言として「国の形を抜本から変えることが本筋。霞が関を変える(解体して再生する)とのメッセージを明確に打ち出すべき。極端なことを言えば、厚生労働省も文部科学省も国土交通省も霞が関にはいらない。財務省主計局を官邸にもっていき、金融庁は財務省に戻す、といった荒療治が必要となる。加えて、太陽光発電と風力発電への補助金投入や購入義務化。食糧自給率向上への目標設定」などを唱えた。

もちろん、小沢代表秘書逮捕を機に、急速に風向きが変わってきたことは事実で、次期総選挙の勝敗は読みづらいが、ポイントは「小選挙区」にある。与党が圧勝し、衆議院の議席の3分の2を得た05年総選挙にしても、表(2)の通り、小選挙区の得票率の差は「わずか3.2%」にすぎない。これで、大都市7都府県だけで95議席の圧倒的大差(103対8)につながったわけだ。

直近の世論調査でも依然、民主党がリードしていることを踏まえれば、現状では政権交代の可能性は引き続き高そう。ともあれ、与野党いずれが勝つにせよ、国民の審判を経るが、政治の閉塞(へいそく)感打開につながることを期待したい。(A)


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