小沢一郎民主党代表の資金管理団体「陸山会」の政治資金規正法違反事件で、小沢氏側が岩手、秋田両県の少なくとも3件の大型公共事業で、準大手ゼネコン「西松建設」の落札を推す「天の声」を出していた疑いがあることが関係者の話で分かった。東京地検特捜部の調べに大手ゼネコン各社が同様の証言をしたとみられる。
しかし、3件の工事はいずれも05年末にゼネコン業界が「談合決別」を申し合わせる前のもので、小沢氏側は関与を否定している模様だ。
特捜部は、西松建設が多額の献金を続けた背景には、東北地方の公共事業に対する小沢氏側の影響力があるとみて捜査。秋田、岩手両県から入札に関する資料を提出させたり、複数の大手ゼネコン関係者から事情聴取したところ、「談合決別」まで、両県では「鹿島」を中心とする談合が行われ、小沢氏側の意向も取り入れられていた疑いが浮上した。
関係者によると、小沢氏側が落札業者の決定に関与したとみられるのは(1)96年8月入札の国道283号秋丸トンネル築造(落札額約25億円、岩手県遠野市など)(2)98年6月入札の岩手県立一戸病院建築(同約38億円、一戸町)(3)02年5月入札の秋田県立武道館建築(同約35億円、秋田市)--の各工事。いずれも西松建設を中心とした共同企業体(JV)が落札しており、複数のゼネコン関係者は小沢氏側の「天の声」があったと認めているという。
西松建設前社長、国沢幹雄被告(70)=政治資金規正法違反で24日に起訴=らは06年3月に落札した胆沢(いさわ)ダム(落札額約100億円、岩手県奥州市)について、「(受注は)献金の成果だった」などと供述していることが判明している。特捜部は、同社が十数年前から毎年2500万円前後を献金したのは、鹿島を中心とする受注調整に対する小沢氏の影響力への期待があり、99年から小沢氏の秘書になった大久保隆規被告(47)=同=もそれを知りつつ献金の継続を要請していた、とみている。
2009年3月25日