【第50回】 2009年03月31日
W杯アジア最終予選中継 「危機感を煽る民放」と「冷静なNHK」、どっちを選ぶ?
――テレ朝の「絶対に負けられない戦い」はいつまで続くのか
では、両者の中継はどんな点が異なり、視聴者にどのような印象を与えるのか。日本―バーレーン戦はNHK・BS1でも中継したので、一方を録画して見比べることにしてみた。
NHKは冷静に淡々と、
テレ朝はテンション高め
中継を見たのはNHK。こちらの方が色のついていない冷静な中継をするはずであり、見た後の印象が偏らないと思ったからだ。実況を担当するのはワールドカップ中継の経験が豊富な栗田晴行アナ、解説はU19日本代表監督、アテネオリンピック代表監督などを務めた山本昌邦氏だ。
中継開始は19時。試合開始は19時20分過ぎで、その間はこれまでの日本代表の最終予選の戦いぶりがVTRで流され、現在の日本の順位と勝点、この試合の勝敗でそれがどうなるかが淡々と解説された。
試合が始まっても同じ調子。一応視点は日本寄りだが、実況も解説も淡々と試合を追っていく。山本氏が日本選手のプレーを解説する時は基本的に褒めるスタンス。前半に大久保がボールを相手に奪われたシーンも、その後にボールを奪い返した姿勢を褒めていた。
淡々とした実況とそうした解説を90分間見続けた試合後の印象は、「いつも通りの決定力不足は気になったが、勝って勝点3を獲れたから、まあ上出来かな」といったものだった。
この直後に録画したテレビ朝日の中継を見た。最初にナビゲーターの川平慈英が登場。いきなりハイテンションで運命の試合が始まることを告げる。次に応援団長の役割を与えられたSMAP・香取慎吾が現れ、アウェー戦で日本選手にレーザー光線を浴びせられたことを語って絶対に勝って欲しいと力コブを見せた。予選の戦いをVTRで紹介したのはNHKと同じだが、こちらは因縁の相手であることを強調した内容である。
そして試合開始。実況は田畑祐一アナ。解説は元日本代表でヴェルディ川崎やセレッソ大阪の監督を務めた松木安太郎氏と辛口解説で知られるセルジオ越後氏だ。
テレビ朝日のサッカー中継は興奮タイプの角沢照治アナが実況を担当することが多いが、田畑アナは冷静な語り口。だが、バーレーンに強豪ナイジェリアなどからの帰化選手が4人いることを何度も語る。そう言われると、バーレーンの選手が不気味に見えてくるから不思議だ。
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