県警の裏金問題を実名告発するなどした仙波敏郎巡査部長(60)が三十一日、定年退職を迎え、支援者らが見送る中、四十二年間の警察官人生に幕を下ろした。
松山市南堀端町の県警本部前には、裏金問題に絡む訴訟の薦田伸夫弁護団長や、同裁判で原告証人として出廷した元北海道警幹部の原田宏二さんら支援者約三十人が駆け付け、仙波巡査部長が姿を見せると花束などを手渡し、口々に労をねぎらった。
仙波巡査部長は「裏金との戦いの警察人生だった。できることはやり切ったので、晴れ晴れした気分」と涙をぬぐった。また勝訴した国家賠償請求訴訟で、同巡査部長が求めていた本部長の謝罪が現職中に実現しなかった点について「本部長は退職者全員に辞令を手渡す際、自分の顔だけは見なかった。思うことがあったのだろう」と話した。
また、仙波巡査部長は県警の裏金問題を告発した自著を四月一日に講談社から出版。同訴訟の賠償金百万円が松山法務局に供託されたままになっており、この百万円で自著などを計三百セット購入し、全国の公立図書館へ寄贈する意向を明らかにした。