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【政治】

首相、指導力アピール 支持回復へ『ひのき舞台』で躍起

2009年4月3日 朝刊

2日、ロンドンでの金融サミットで会議に臨む麻生首相と与謝野財務相(左)=代表撮影・共同

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 麻生太郎首相は第二回金融サミットで、世界的な経済危機の克服に向けた日本のリーダーシップをアピールした。小沢一郎民主党代表の続投表明後、上向き始めた内閣支持率を回復軌道に乗せるため、二〇〇九年度補正予算案を柱とする追加経済対策の策定指示に続き、サミットという「ひのき舞台」で存在感を示す狙いからだ。 (ロンドンで、渡辺隆治)

 麻生内閣の支持率は二割を切る低空飛行を続けていたが、西松建設の違法献金事件で公設秘書が起訴されたにもかかわらず、小沢氏が続投を表明した後、20%台を回復した。

 首相側近は「定額給付金や高速道路料金の値下げなどの政策が理解されれば、30%は超える」と、強気のそろばんをはじく。

 首相はサミットへの出発直前、〇九年度補正予算の早期成立を目指すと明言し、景気をテコ入れする姿勢を鮮明に。

 首相は、景気と並ぶ二枚看板の外交でも得点を挙げ、支持率を一気に上昇気流に乗せる意気込みでロンドンに乗り込んだ。

 首相は一日、各国首脳との個別会談で「強力なメッセージを出すべきだ」と、世界第二位の経済大国としてサミットでの議論をリードする意欲を表明。

 二日の首脳会合では、アジア向け政府開発援助(ODA)を五千億円積み増し、総額二兆円規模とするほか、新興国・途上国への追加貿易金融支援として総額二百二十億ドル(約二兆二千億円)を拠出する方針などを打ち出した。

 こうした日本の取り組みに、議長国のブラウン英首相は麻生首相との会談で「日本がリーダーシップを発揮していることに感謝する」と謝意を表明。

 二日の首脳会合では麻生首相は最初の発言者に指名され「わが国の財政状況で許される最大級の景気刺激策を考えている」と説明。日本政府関係者は「麻生首相の発言が議論の流れをつくった」と胸を張った。

 ただ、首相の帰国後は難問が待ち受けている。北朝鮮が人工衛星名目で打ち上げを予告している長距離弾道ミサイルへの対応を誤れば、支持率の上昇機運がしぼむのは確実。西松建設の違法献金事件が自民党にも飛び火する可能性も取りざたされている。

 このため、首相同行筋は「支持率が反転上昇したといっても、不支持率は六割を超えている。地道に政策を積み重ねるしかない」と楽観論を戒めている。

 

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