県立奈良病院が4月から、看護師不足のため病床69床を休床する事態に追い込まれている。県医療管理課は「看護師の厳しい勤務状態を緩和する必要もあり、県民に迷惑のかからないようぎりぎりの範囲で決断した」と説明。今年度予算に夜間看護手当ての引き上げや院内夜間保育の実施などを盛り込んだ。早期の復床を目指すが、看護師不足は深刻化する一方で、確保は難しい状況が続きそうだ。【高橋恵子、中村敦茂】
県によると、同病院の認可病床は430床だが、07年4月から410床で運用している。今年7月時点で39人の看護師が不足すると見込まれるため、さらに11科69床を休床することにした。
内訳は、内科28▽神経内科3▽小児科5▽外科9▽整形外科7▽脳神経外科3▽皮膚科2▽泌尿器科4▽婦人科4▽眼科2▽耳鼻いんこう科2。充実を図る救命救急センターと産科、NICUは現行の病床数を維持する。
県医療管理課によると、勤務の厳しさや家庭との両立の難しさなどから看護師の離職率は高い。06年の診療報酬改定で、患者7人に対し看護師1人の手厚い看護基準を満たす医療機関の診療報酬が加算されることになり、病院間の獲得競争も激化している。
県立奈良病院では、08年度末で26人が退職。同年度中の中途退職も19人いた。これに対し、今年4月の定期採用は15人にとどまった。県では07年秋以降、年1回の定期採用に加え、毎月の随時募集も実施しているが、採用環境が厳しくなる中、欠員を解消できない状況が続いている。
日本看護協会の調査では、06年度の県内看護職員の離職率は16・0%で、全国最悪の大阪府(16・8%)に次いで2番目の高さ。県内の看護師養成機関の07年3月の卒業生のうち、県内就業は57・7%にとどまっている。
毎日新聞 2009年4月3日 地方版