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どうする佐久:変革・継続 09年市長選/下 病院移転再構築問題 /長野

 ◇新市長に責任と期待 「市立浅間」への影響どこまで

 「ツガミ跡地を候補地として所要の手続きに入る--」

 こう着状態が続いたJA長野厚生連佐久総合病院(佐久市臼田)の分離移転再構築問題で、佐久市と厚生連、県の3者協議は2月7日、冒頭の知事裁定によって合意した。再構築に一定の方向が定まったことで、市長選の直接的な争点となることは避けられた。

 ただ、県内有数の中核病院である佐久総合病院の分離移転が、東信地域の医療機関、特に市立浅間総合病院の経営や街づくりに大きな影響を与えることは確かだ。どのような構想を描くのか、新市長への責任、期待は大きい。

 基幹医療センターが分離移転する同市中込のツガミ跡地は、浅間総合病院と約2キロメートルの至近距離にある。佐久医師会の工藤武会長は「これまでの病院間の適正配置、役割分担などにどんな影響を及ぼすか。『紹介型』診療がどの程度徹底され、相互連携システムが築けるか調整したい」と浅間病院への打撃を懸念する。

 浅間総合病院の運営は他の自治体病院と同様に苦しく、09年度までの累積欠損は15億円余に上る。病院の試算によると、13年後の22年には収支で黒字に転換し、ピーク時23億円となる累積欠損は29年度までに解消する計画だ。

 北原信三院長は「(近隣に)高次医療が来るのはありがたいこと。しかし『全部任せろ』では患者の奪い合いになる。市立病院として周産期医療の充実など改革プランを早急に実現したい」と言う。

 中込地区では、早くも病院を核とした街づくりシンポジウムが開かれ活気を帯びる一方、臼田地区では「入院中心の病院になってしまうのでは」との不安が広がる。

 商店街で生花店を営む女性(75)は「地域と一体になって発展してきた愛着ある病院。残す診療科はしっかりとした体制で残してほしい。商店も一緒に移れればいいが……今から対策を考えたい」。臼田高近くの店主は「高校再編で普通科がなくなれば、分校のように縮小される。病院が分離すれば、ますます商店街の人通りがなくなる」と行く末を案じ、地域振興や活性化には行政の支援が不可欠だと訴える。

 市と厚生連の再構築協議は市長選後、早期進展に向け本格化する。市民への説明や法律的手続きなど課題は山積する中、地域や市民の利益を考え、どう実現させるのか。立候補に備える前県議、柳田清二氏(39)と前県佐久地方事務所長、木曽茂氏(60)の2氏のいずれに託すか。有権者の判断は19日に下される。(この企画は藤澤正和が担当しました)

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 ■ことば

 ◇佐久総合病院再構築計画

 施設老朽化と手狭なため、現病院を機能分化し、高度・専門医療を集約した「基幹医療センター」をツガミ跡地に建設する。救急や急性期医療、がんや脳卒中、急性心臓疾患などが対象となる。現病院は「地域医療センター」として救急外来や一般診療、リハビリ医療などを提供、「市民病院」的な機能を充実させる。

 基幹医療センターは450床規模で、事業費150億~160億円で3、4年後に完成。地域医療センターは300床で、6、7年後に建て替え工事が完成する予定。

毎日新聞 2009年4月3日 地方版

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