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「自殺、生活保護の拒否が原因」 遺族、北九州市を提訴

2009年4月3日3時3分

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 07年6月に北九州市小倉北区内の男性(当時61)が自殺したのは、市の福祉事務所が不正に生活保護を拒否し続けたのが原因として、男性の遺族が2日、市に慰謝料など1099万円の支払いを求めた国家賠償訴訟を福岡地裁小倉支部に起こした。

 会見した弁護士や訴状によると、男性は07年6月9日、小倉北区内の自宅アパートのベランダで首をつって自殺した。所持金は1079円だったという。

 男性は自殺前の6月4、5日に、小倉北福祉事務所を訪問。生活保護を申請したが、職員は「2週間努力して仕事を探してほしい」などと拒否した。男性には肝硬変などの持病があったほか、5月には心筋梗塞(こうそく)で倒れるなど働ける体ではなかったという。

 男性は経済的に困窮していた05年末ごろから、知人の女性宅に居候していた。06年4月には入院先の病院で同事務所職員に生活保護を望んでいると伝えたが、職員は「2人世帯と認定せざるをえない」と言い、その場合は生活保護の開始要件を満たさないと虚偽の説明をして、申請受け付けを拒否。さらに面接記録に「悪質ケース」と記載した。

 その後も、同事務所を訪れた男性に対し、「事前に連絡をした上で再度来所するように」と言って帰らせるなどの応対が続いたが、6月1日の4度目の申請で、ようやく生活保護が始まった。

 07年1月に男性は食道静脈瘤(りゅう)で入院。退院後、「退院したのだから生活保護は今月まで」と就労を指導され、男性は3月から仕事を始めた。4月2日に同事務所に辞退届を提出させられ、同3日に生活保護は廃止となった。生活保護の対象となる最低生活費が10万7460円なのに対し、当時の男性の収入はそれを下回る6万9054円だったとされる。

 男性の遺書には福祉事務所の対応に関する記述はなかった。しかし、男性が自殺の数日前、知人に「死んだ方がまし。福祉事務所にまた色々言われるのは面倒だし」などと話していたことから、弁護士は「福祉事務所の度重なる違法な対応が、男性を絶望させた」と説明している。

 北九州市では05〜07年、生活保護を断られた人が孤独死する事件が相次いだ。男性が自殺した07年6月は、生活保護の申請をなかなか受け付けない市の対応への批判を受け、北橋健治市長の指示で第三者の検証委員会ができた直後だった。

 市保護課の守口昌彦課長は「訴状を見ていないので、現時点でのコメントは差し控えたい」と話している。(岩田正洋)

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