早い話が

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早い話が:小沢一郎のどこが悪い=金子秀敏

 マスコミでは小沢一郎・民主党代表たたきの大合唱だ。「政治とカネ」「ゼネコンと政治家」となると、自然「ケシカラン」とボルテージが上がる。だが、小沢代表のどこが、どう悪いのか。そこがあいまいだ。だからヒステリックなバッシングに終わっている。

 世論調査をすると「小沢代表の説明に納得がいかない」という意見が圧倒的に多い。同感だ。だが、説明を求める相手は、まず西松建設ではないのか。

 西松建設は、多額の「裏金」をダミーの政治団体を通じて、小沢代表の資金管理団体「陸山会」に合法的な「表金」として献金した。西松建設内部で行われた資金洗浄だが、受け取った小沢代表の公設秘書も政治資金規正法違反に問われた。これから法廷で争われる。

 国民だれもが不思議に思うのは、西松建設は、なにが目的で陸山会に多額の献金をしたのかである。

 公共事業の受注に便宜を図ってもらおうとしたのか。入札で天の声をだしてもらったのか。もしそうであるなら、野党の国会議員でも公共事業の入札に関与できる仕組みがあることになる。

 もしそのような仕組みがあるなら、秘書は、あっせん利得処罰法違反や収賄罪に問われなければならない。そのような仕組みがないとすれば、小沢代表にはこれ以上説明のしようがない。

 小沢代表は、陸山会の献金処理が適切に行われたかどうかについては説明をしている。しかし、西松建設がなにを期待したのかまで説明する筋合いではない。だから説明を聞いた国民が「納得できない」とフラストレーションを感じるのは自然のことだ。

 どうすべきなのか。話は簡単だ。西松建設に説明責任を果たしてもらうことだ。なぜダミーの政治団体を作ったのか、当事者である西松建設から聞くのが一番だ。国会に西松建設幹部を呼んで、なぜ与野党議員に多額の献金をしたのか、公共事業の受注が狙いだったのなら、陸山会やほかの国会議員の事務所が関与した事実があったのかどうか、そうであるならどのような仕組みだったのか。

 その仕組みが明らかになれば政治の浄化は一歩すすむだろう。この事件では、姿の見えない「関係者の話」「西松建設関係者の話」がメディアにさかんに流れている。その「関係者」を国会に呼んで納得がいくよう話してもらうべきだ。共産党はそういう主張らしいが、与党もメディアも小沢たたきには熱心でも、政治浄化には不思議と腰が引けている。(専門編集委員)

毎日新聞 2009年4月2日 東京夕刊

 

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