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【社会】

非正規失職19万人『実態反映せず』 GW危機も 失業給付切れ業種広がり顕著

2009年4月1日 朝刊

 厚生労働省が三十一日発表した非正規雇用の失職者は十九万人を超え、雇用情勢は厳しさを増すばかりだ。年度末を機に大量解雇や自殺者急増などが懸念される“三月末危機”。職と住居を同時に失う人が増えると懸念される一方、十九万人超という数字さえ実態を表していないとの声も上がる。

 「三月いっぱいで、寮から引っ越しの準備をしておけ」。千葉県内にある家電製品の部品製造工場で働いていた派遣社員の男性(43)は二月末、出身地の東北地方にある派遣元社長から電話で解雇を通告された。次の仕事の紹介もなく、月末を迎えた。

 男性が工場で働き始めたのは三年前の四月。本年度末は制度改正で三年前に急増した派遣労働者が一斉に期限切れとなるため大量解雇が懸念されていた。

 男性は、多重債務救済やホームレス支援などに取り組む司法書士後閑(ごかん)一博氏に相談し、県内の雇用促進住宅への入居が決まったが、「仕事が見つかるかどうか」と不安をぬぐえない。

 後閑氏は「三月末に失職し住居を失った非正規雇用の人たちは失業給付を受給できなければ、五月の連休前後には所持金がなくなって路上にあふれるかもしれない」と危惧(きぐ)する。

 一方、「全産業で十九万人超という数字は実態を表していないのでは」と指摘するのは、派遣ユニオンの関根秀一郎書記長。派遣切りホットラインで最多は製造業の八十八件だったが、物流その他八十三件、事務系五十九件と産業の広がりが顕著だ。

 「業界団体の試算では製造業の派遣・請負だけで約四十万人失職の可能性がある。物流や事務系なども合わせれば、もっと多いはずだ」との見方を示している。

 

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