2009年4月1日7時23分
大阪府の橋下徹知事は1日、大規模な人事異動を発令する。「ひな壇部長」と呼ばれる九つの部長ポストをほとんど入れ替え、課長級を部長に抜擢(ばってき)する「公務員の常識ではあり得ない」(府幹部)という異例の人事だ。庁内には不満と不安が渦巻くが、橋下知事は「反発がなければ改革ではない」としている。
「部長の総入れ替え。こんな異動は過去にない」。府幹部がそう漏らす今回の人事異動は「ひな壇部長」の入れ替えが最大の特徴だ。府議会の本会議場で議員たちと向き合い、橋下知事とともに2列の壇上に並ぶ九つの「ひな壇部長」ポストは、3人が中途退職、3人が外部派遣、3人が別の部の部長に替わる。
2月下旬、知事室に呼ばれたある部長は橋下知事から「後進に道を譲っていただけませんか」と告げられた。定年の60歳までまだ数年。後任への不安もあり、「もう1年やらせてください」と頼んだが、聞き入れられなかった。
庁内で波紋を広げたのが外部法人への派遣だ。府人事室は「現場重視の人事配置」と説明するが、派遣される部長の一人は「本庁から周辺への明らかな左遷」と肩を落とす。府幹部は「今回の人事は知事に意見した人が左遷させられている」と解説する。
部長らは、橋下知事が庁内の反対論を抑えて補助金削減を進めた「大阪センチュリー交響楽団」や、橋下知事の特別顧問と府職員との間で意見対立があった関西空港の活性化策などの難題で、橋下知事と議論を戦わせた。部長の一人は「覚悟はしていた」。
橋下知事は今年1月の幹部あてメールで「公務員組織の不文律を壊す」と宣言し、「いったんひな壇に上がった部長を落とします」と予告していた。ある幹部は「意見を言う古参の部長がうっとうしかったのだろう」と見る。