県医療局の08年度差引損益は1950年の発足以来、過去最悪となる29億5700万円の赤字となる見通しであることが30日、明らかになった。同局が県立病院経営委員会で決算見込みを報告した。前年度から3倍近く膨らむ赤字額に、委員からは無床化を進める09年度からの新経営計画についても「11年度に黒字化するとしているが、試算の根拠が示されていない」など批判が集まった。
県医療局管理課によると、医業収益は、医師不足による外来患者減少で前年度比0・5%減の795億600万円とほぼ横ばいとなった。だが、医業費用は同比1・2%増の888億8900万円に増えた。地方公務員共済の負担金や退職手当が増えて給与費が同7億1500万円膨らんだほか、重油価格の高騰や委託業務の拡大で経費も4億5800万円増加。新設の県立中部病院への引っ越し費用として1億5300万円を特別損失で計上したことも響いた。
08年度決算は確定していないがこれまでの赤字最高額、81年度の20億9700万円を上回るのは確実。年度末累積欠損金も純増し、167億9500万円に膨らむ見通しだ。
一方、09年度当初予算では赤字幅を14億3300万円に圧縮する方針だ。看護体制見直しによる入院患者の診療報酬増加などで医業収益を同比1・6%増の807億6800万円に伸ばし、医業費用を同比0・5%減の884億7200万円に抑えるとしている。今後、県立病院・地域診療センターの無床化を柱にした新経営計画を進め、11年度には1億1900万円の黒字化を目指す。
公認会計士の堤研一委員は「既に累積欠損金を現金で返せず、医療局は破綻(はたん)状態だ。経営体制自体の見直しが必要だ」と非難した。【山口圭一】
毎日新聞 2009年3月31日 地方版