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■特集 「戦争をする国」に変えられる日本
■習志野にＰＡＣ３ 急ピッチで構築されるＭＤシステム
十一月二十九日、防衛省は航空自衛隊の習志野分屯地（千葉）にＭＤシステムの一環で射程約二十�劼侶涎皀潺汽ぅ襦Γ丕腺達海鯣惰�した。自衛隊のＰＡＣ３配備は入間基地についで二番目となる。この日、搬入に反対する市民団体をけん制するかたちで「日の丸」を林立させ「自衛隊がんばれ」と大書きされた横断幕をもった右翼団体が押しかけるという異様な事態も起こった。福田政権が日本を「戦争をする国」に飛躍させるために、右翼団体をも積極的に活用して反戦運動を抑え込もうとしている危険な実態さえも浮き彫りとなった。
地上配備の迎撃ミサイルＰＡＣ３を含むＭＤシステムは、中国やロシア（北朝鮮）を主敵とした先制攻撃作戦のためのもので、およそ「防衛的」などという代物ではない。ＭＤシステムは敵基地・兵器の動きの偵察やミサイルを追尾する衛星・偵察機・レーダー施設群、先制攻撃用の兵器・迎撃ミサイル群（大気圏外用ＳＭ３＝イージス艦搭載や最終段階用ＰＡＣ３）とこれらの兵器システムの情報制御ユニットでなりたっているハイテク兵器システムだ。この全システムを運用できるのは米軍であり、自衛隊のレーダー・ミサイル群は事実上、米軍の統括下でしか運用されない。米軍のみがＭＤの情報を統括できるたからだ。象徴的には米軍三沢基地に新たに配備された移動式の統合情報地上局＝ＪＴＡＧＳの存在だ。ＪＴＡＧＳはＭＤシステムの偵察・追尾情報を一括管理し、米軍横田基地にある在日米軍司令部および自衛隊との「共同統合運用調整所」に伝達する情報統括局。日米両国の集団的自衛権の行使は、ＭＤシステムにおいては、すでに前提となっている危険な実態さえ浮き彫りとなる。
■座間では第一軍団司令部が正式発足
第一軍団前方司令部（米陸軍キャンプ座間）が十二月十九日に正式発足する。十一月十六日、防衛省が神奈川県座間市などの地元自治体に一方的に通告してきたことで分かった。さらに同司令部移転にともなって、米軍相模原総合補給廠（神奈川県相模原市）に米陸軍戦闘指揮訓練センターと戦術作戦センターを新設することが同市議の金子豊貴男さんの調査で判明。米軍が首都圏に巨大な前線指揮施設を構築するかまえでいることが分かり、反対の声が高まっている。
同司令部の設置は、在日米軍再編の重要な施策のひとつ。第一軍団司令部は現在、米本土を拠点としているが、本体機能を座間に移しＵＥｘという新しい陸軍司令ユニットとして再編される。ＵＥｘは前線司令部であり、機動性を優先して直属の部隊を持たず、作戦に最適なハイテク旅団戦闘チームＢＣＴ（司令組織ＵＥｘとの関係ではＵＡと呼称される）を束ねて戦闘を遂行する。ＢＣＴは、イラク侵略戦争に投入された八輪の新型装甲車両を中心とした殴りこみ部隊＝ストライカー旅団が典型だ。座間への前線司令部ＵＥｘの設置はアジアを戦地とした戦争を米軍が構想していることを意味する大変危険な動きなのだ。
この米陸軍の組織再編に対応して日本政府は陸自に中央即応集団（司令部はキャンプ座間）を今年から創設。基本的な部隊組織の考え方は第一軍団と同じ。中央即応集団司令部のもとに、作戦に最適な部隊を組み合わせて戦闘を遂行する。
十一月、岡山県日本原演習場で、昨年の約十倍の規模にあたる五百人の日米両軍兵士が市街戦演習を行なった。イラク侵略戦争を「教訓」にした内容だ。日米の両陸軍が一体となって中国やロシアを主敵とした陸上戦を遂行する体制が着実につくられている。
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