1973年に所在不明となった渡辺秀子さん=失跡当時(32)=の子ども2人が北朝鮮に拉致された事件で、工作員グループが、活動拠点だった貿易会社「ユニバース・トレイディング」(東京、既に解散)内部で渡辺さんを殺害したことを話し、グループを恐れた社員が74年秋ごろから相次ぎ退職していたことが13日、警視庁と兵庫県警の共同捜査本部の調べで分かった。
捜査本部は、子ども拉致事件とともに、渡辺さん殺害疑惑についても当時退職したユニバース社の元社員から事情を聴き解明を進める。
これまでの関係者への聴取で、渡辺さんは子どもが北朝鮮に連れ去られた74年6月には既に殺害されていたとみられ、工作員の男が社内で「絞めて殺した」などと話していたという。
警察当局はこれまでも渡辺さん殺害について立件を目指し、ユニバース社関係者から事情聴取。「箱に入れ石を詰めて捨てた」「遺棄場所は山形と秋田の県境」などの証言が出ていたが、遺体発見には至っていない。