74年に渡辺秀子さん(当時32)の子供2人が拉致された事件で、警視庁公安部は26日午前、工作員グループのリーダー格で、拉致を指揮したとみられる女の逮捕状を取った。 国外移送目的略取などの容疑で逮捕状が出たのは、洪寿恵こと木下陽子容疑者(59)。この事件は74年6月中旬ごろ、埼玉県の主婦・渡辺さんの長女・敬美ちゃん(当時6)と長男・剛ちゃん(当時3)が福井・小浜市から工作船で北朝鮮に拉致されたもので、木下容疑者は工作員グループのリーダーとして拉致を指揮した疑いが持たれている。
木下容疑者は79年5月に日本を出国し、現在は北朝鮮にいるものとみられ、警察当局は今後、国際手配する方針。
一方、木下容疑者の指示を受け、2人を北朝鮮に連れて行ったのは、世話役の55歳の女とみられている。この女は、工作船を待つ間に「お姉ちゃんも飲むからね」と言って自分は酔い止め薬を飲んで安心させた上で、2人には睡眠薬を飲ませていたことが新たにわかった。女は関係者に対し、「姉(敬美ちゃん)は目を覚ましたので、手を引いて工作船に乗せたが、弟(剛ちゃん)は寝ていたので、背中におぶって乗せた」などと話していることもわかった。