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27/03/2009

中世の魔女裁判のような拷問を加えたりしなくとも被疑者は虚偽自白するし,そのことを完全に防止する術はどんな優秀な弁護人にもない

 矢部善朗創価大学法科大学院教授(刑事法)は次のように述べています。

このような大久保被告人が、20日間以上の検事の取り調べに耐えて否認していたにもかかわらず、起訴の翌日に「検事に自白させられる」なんてのは「寝言は寝て言え」のレベルです。
 のみならず、そのような弁護団がついているのに起訴の翌日に虚偽の自白させられたとすると、それは弁護団の大失態を意味します。
 つまり、小倉弁護士のこのエントリは、誰よりもまず大久保被告人の弁護団に対する侮辱を意味しています。

 矢部教授は,この種の論理がお好きなようです(検察の捜査の国策性を批判することは裁判所を批判することだと言ってみたり。)。

 しかし,どんなに優秀な弁護団が就いていたとしても,わが国では取調べへの弁護人の立ち会いが認められていませんし,接見だって四六時中やっているわけにもいきません。被疑者を孤立させたり絶望させたりすることにより,「中世の魔女裁判のような拷問を加えたり」しなくとも被疑者が虚偽内容の自白をしばしばしてしまうことは様々な研究結果等により既に明らかになっている(創価大学法科大学院でも,山下先生に刑事訴訟法を教えてもらえればそういうことは教えてもらえるのではないでしょうか。)わけで,勾留期限まで頑張れば厳しい取り調べから解放されると信じていたのに勾留期限後も同様の取り調べが続いたとなれば(この時点で,弁護人からの説明は実際上空理空論となってしまっているわけですから),被疑者としては検察官に迎合して検察官が要求するストーリーを是認するまでは厳しい取り調べが際限なく続くことが想定されるため,耐えられなくなって虚偽の自白に応じてしまうことは十分に考えられます。

 もちろん,そのような取り調べによってなされた自白はさすがに任意性を欠くものとして調書が却下されることは十分に考えられるわけですが,検察の目的が次の総選挙で民主党を大勝させないことにあるとすれば,総選挙後に上記自白の任意性が覆されても,痛くもかゆくもないわけです。

 なお,矢部教授は,スポニチの記事において「25日まで」となっていて「25日に」となっていない点を過大視しているようですが,24日の時点で大久保容疑者の自白調書が作成されており,25日以降は取調べ等が行われていないのであれば,起訴の際の記者会見でその旨の説明があるのではないか(25日以降にリークする意味って何なの?)という気がしないわけではありません。

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Notifié le le 27/03/2009 à 07:13 PM

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