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29/03/2009

創価大学法科大学院では「10数時間程度なら起訴後の取調べも無問題」と教えているのでしょうか。

 矢部善朗・創価大学法科大学院教授は,次のように述べています。

 ここまで想像力が働くのであれば、もし、大久保被告人が任意性に疑問が生じるような無理な取り調べを受けたというのであれば、自白の有無にかかわらず、弁護団は検察に対して強硬な抗議を行うことくらいは容易に想像できるだろうと思われます。

 「任意性に疑問が生じるような無理な取り調べを受け」なければ被疑者は虚偽自白に転ずることはない,との前提に立って空想を巡らされても,何だかなあという気がします。虚偽自白のメカニズムについては,浜田寿美男先生の「自白の研究」くらいは踏まえておいて欲しいものです。

 また,矢部教授は,次のようにも述べています。

しかし、産経の記事によれば、大久保被告人は
勾(こう)留(りゆう)期限が迫った最近になって、「献金が西松からだと認識していた」と供述したという。
 つまり、勾留期限前に事実を認める供述をしていることになります。  そして、この産経の言う「供述」と小倉弁護士が引用した日刊スポーツのいう
25日までに、同社から違法な企業献金を受領しながら虚偽の報告をしていたなどとする政治資金規正法違反罪での起訴内容を大筋で認めた。
という供述が同じものであるならば(ニュースソースがいくつもあるとは思えませんので同じである蓋然性が極めて高いと見るのが自然でしょう)、それだけで小倉弁護士の「25日までに!?」は的外れになる、というのが私の反論エントリの前半部分です。

 矢部教授の目にはこの二つは同じに見えるようですが,法律的にはこの2つは同じではありません。特定の政治団体からの政治献金につき,その原資が西松建設からでており,会計担当者がそのことを認識していたとしても,それだけでは政治資金規正法違反(虚偽記載)は成立しないからです(こちらのエントリーで既に述べたことなので繰り返しませんが。)。まあ,同じ「元検事」といっても,東京地検特捜部でばりばりに働いていた郷原先生のような方と,「筋書き・自白ありきの強引な捜査、高圧的な取り調べ、証拠を積み重ねる緻密な捜査の欠如」とも評される山形マット死事件を担当された矢部教授との差かもしれません。

 

私が、自白の経緯について触れたのは、あくまでも起訴日(24日)から25日までの長くても30数時間(取り調べ時間とすればせいぜい10数時間、仮に取り調べがあったとしてもですよ)程度の間のことです。
 しかも、大久保被告人は強力な弁護団の弁護を受けています。
 私は、このような大久保被告人に特有の状況を前提にして意見を述べています。

とも矢部教授は述べておられるのですが,この時期にさらに10数時間同じような取り調べを繰り返されたら被疑者が受ける精神的なダメージは大きいことは想像に難くありません(だから,「起訴後の取り調べといっても,10数時間程度なら問題なし!」みたいな話は,おそらく創価大学の法科大学院以外では教わることはないでしょうし,創価大学の法科大学院でも,山下先生の授業をとるとそのように教わることはないでしょう。)。そして,そこでは,「強力な弁護団」とて為す術はありません。日本では,取調べへの弁護人の立ち会いは認められていないのです(自公連立政権は,取調べへの弁護人の立ち会いを認めるなどの,国策捜査を困難とする刑事訴訟法の改正には消極的なのです。)。

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