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「ネット選挙は民主主義インフラのひとつ」早稲田大学・北川正恭教授に聞く -ネット選挙運動を即刻解禁せよ! 第6回-藤倉 善郎(2007-06-21 14:30)
三重県議会議員、衆議院議員、三重県知事という経歴を持つ北川正恭氏は、知事退任後、早稲田大学教授に。その後、「新しい日本をつくる国民会議(21世紀臨調)」代表、早稲田大学マニフェスト研究所長として、選挙におけるマニフェストの解禁や配布場面の拡張を提唱してきた。その功績から、2003年の流行語大賞「マニフェスト」の受賞者にも選ばれている。
加えて現在、開票事務の効率化を提唱する「0.1秒の努力」を推進する北川氏が目指すのは、「民主主義を支えるインフラの整備」だ。その北川氏に、ネット選挙運動解禁の意味について語ってもらった。 「現実は常に法律よりも先を行く」 ── 北川さんは、2005年に金融コンサルタントの木村剛さんらが提唱した「IT選挙推進協議会」の発起人代表も務められていましたよね。 「ネット選挙をやって逮捕されたら、候補者は英雄になれる」と語る早稲田大学の北川教授
(撮影:吉川忠行) ── そもそもマニフェスト解禁には、どのような背景があったのでしょうか。 「もとをただせば、1996年の衆院選での小選挙区制導入が端緒です。それ以前の中選挙区制では、1つの選挙区で同じ政党の候補者が複数立候補していたため、政策本位の選挙が行われにくかった。 これに対して小選挙区制は、1つの議席をめぐって違う政党の候補者同士の対決が行われる、政策本位の選挙が行われやすい環境。こうした選挙制度の変化の延長戦にあるのがマニフェスト選挙で、その解禁はもはや歴史的必然だったのではないかと思います」 ── 6月7日に、改正公職選挙法が可決され、今度の参院選から候補者本人が不在の場所でもマニフェストが配布できるようになりました。マニフェストはこれまで、どのようなプロセスで、その使用場面を広げてきたのでしょうか。 「2003年に統一地方選挙で導入したのがきっかけで、同年11月の総選挙でも導入。今年の統一地方選では、配布枚数の制限はありましたが、首長選挙でも解禁されました。 ローカル選挙で選挙期間外にマニフェストを普及させたことで、国政でも選挙期間中の配布が解禁された。その後、今年に入って首長選挙での配布や国政選挙での配布場所の拡張が実現した、という流れです」 ── 国政では、やはり古参議員の間では反発があった? 「当初、国会議員の反対は根強かったですね。議員にしてみれば、政策を約束して投票してもらうより、従来の白紙委任的な選ばれ方の方が楽ですし、そういう形で築いてきた自分の支持基盤を崩したくなかったのでしょう。 マニフェストを普及させることができたのは、民主主義の推進に理解がある地方首長候補の賛同があったから。いまや、候補者の人柄などで選ぶ有権者より、マニフェストの内容で選ぶという有権者の方が多い。 さらに、法改正が実現したことでさらに普及が加速します。当初のマニフェストは、あくまでも候補者の選択肢の1つでしたが、法律的に担保されたことで、国会議員もマニフェストを作った方が得だと思える状況が完成した。普及するにつれ、マニフェストの質も向上してきている」 ── 法律の改正を求めるより先に現実を作ってしまうというやり方が素晴らしいですね。 「もちろん、法律の改正は重要です。しかし、現実というのは常に法律より先を行くものです。マニフェストもはじめは公職選挙法の禁止行為ギリギリの面もありました。当初は選挙期間中には配布できませんでした」 ── 日本の選挙は、本当にがんじがらめですね。 「そもそも、『選挙期間』というものが存在する国は日本くらい。多くの国では『選挙期間』にしかできないことや、選挙期間以外にやってはいけないことを法律で定めたりはしていないんです。 日本ではマスコミも、日ごろ政治関連の記事を連発しているのに、選挙期間に入るとパタリと政策に関する記事を載せなくなってしまう。狂ってますよ」 ネット選挙違反で逮捕されれば英雄だ! ── ネットもマニフェスト同様に、民主主義を支えるインフラだとのお話がありましたが。 「政策を見ることができない選挙制度は解消すべきです。 マニフェストは、公選法で配布数を制限されています。法改正をして配布数を増やすのも1つの手ですが、費用を公的負担とするなら予算の問題が出てくる。たとえ国が負担するとしても、それにカネをかけすぎるのはいかがなものか、という問題が出てきます。その点、ネットなら紙でマニフェストを配るほどの費用はかからない。 ネットが解禁されれば、ネットで広くマニフェストを配布することもでき、よりいっそう、政策中心の選挙が行われやすい環境になるはずです」 ── ネット解禁も、マニフェスト解禁と同じような効果が期待できるんですね。 「ネットが解禁されれば、古いタイプの政治家は全員落選するんじゃないでしょうか。選挙制度を変えるというのは、実は憲法改正よりも早く国を変えることができる方法なんです」 ── 選挙時のネット利用に関しては、グレーゾーンが非常に広い。マニフェスト解禁ではグレーゾーンの活用が成功したかもしれませんが、ネットに関してはグレーゾーンに果敢に攻め込む候補者は多くない気がします。 「どんどんやればいいと思うんです。グレーゾーンは見解の相違ということで、公選法の対象外ですから、法的に罰することは難しいと思います。もし、本当に逮捕されたら、その候補者はむしろ英雄になれますよ」 ── 本日は、お忙しい中、ありがとうございました。オーマイニュースも“英雄”になれるよう頑張りたいと思います。 【関連リンク】 北川正恭オフィシャルウェブサイト ローカル・マニフェスト推進ネットワーク 「マニフェストを読んで選挙に行こう。」プロジェクト ネット選挙運動を即刻解禁せよ! トップページへ バックナンバー
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