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ネット選挙運動を即刻解禁せよ!

参院選でHP更新を認めるメリット

【キャンペーン】ネット選挙運動を即刻解禁せよ! 第2回

藤倉 善郎(2007-05-25 13:40)
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 ネットを利用した選挙運動の解禁を求める声は以前からある。いや、正確に言えば、2005年のいわゆる「郵政解散」にともなう衆院選挙前後に話題になったものの、それ以降、なぜか大きな動きもなく塩漬けにされていた。

 短期間に次々と新しい技術やサービスが登場しているインターネットだからこそ、早期解禁が求められる。

2005年の衆院選で話題になったものの、いつの間にか塩漬けになったネット選挙解禁。有権者・議員の双方にメリットがあるのではないか=05年9月11日、東京・永田町の自民党本部で(撮影:吉川忠行)
ネット選挙解禁のメリット

 ネットの選挙運動の解禁には、さまざまなメリットがある。

 その最たるものは、情報の流通量が従来と比べようもないくらい大きくなる点だ。現行の公職選挙法では、たとえば参議院選挙(選挙区)の候補者が配布できる「文書図画」はハガキ3万5000枚とビラ10万枚のみ。いずれも選挙区の広さによって配布できる枚数は増えるが、ビラの上限は30万枚だ。

 2004年の参院選では、東京選挙区からトップ当選した自民党・中川雅治議員の得票数は101万4293票。数十万枚のビラを全て配布しても、有権者の大半はビラを受け取ることができない。

 しかしネットでの選挙運動が解禁された場合、「情報が欲しい」と思った有権者は、誰でも候補者のホームページ(HP)を探して閲覧できる。枚数や配布場所が法的にも物理的にも限定されてしまうビラと違って、ネットに掲載される選挙情報を得るために必要な条件は、「ネットに接続できること」だけだ。

 街頭演説やビラ配りに出くわす機会がない内勤のビジネスマンでも、わざわざ選挙事務所に足を運ぶほどの時間や情熱がない有権者でも、地元に住民票を置いたまま別の都市に住む学生有権者でも、ネット上でなら選挙情報に触れる機会を簡単に持つことができる。

速報性もメリット

 情報の量だけではなく、速報性もネットのメリットだ。

 一度印刷してしまったハガキやビラと違い、HPやメールでは常に最新の情報を発信することができる。極端な話「明日、○○駅前で演説をします」という急な告知も、難なくできる。

 ネットでの選挙運動は、ネット上で完結するわけではなく、「生の候補者を見て判断したい」という有権者のニーズにも応えられる。

 すべての候補者がこうした情報を公開するとは限らないが、候補者にとって、ネット解禁によって選挙戦略の選択肢が増えることは間違いない。

 候補者の声が直接有権者に届く機会が増えれば、将来的に選挙の質そのものが向上する可能性さえ期待できる。運動員の数などではなく、候補者が訴える政策によって有権者が判断を下しやすい環境ができるからだ。

 ネット上でも、大量の運動員や技術を持った運動員を動員すれば、大規模で見栄えのいいHPの作成や、大量のメールを送信したり、大量の掲示板やSNS、ブログで組織運動をできるかもしれない。すなわち、ネット解禁が直接、組織選挙からの脱却につながるわけではない。

 しかし、現在の自民・民主両党の法案では、いずれも「なりすまし」が禁じられている。選挙運動が大規模に行われても、候補者が直接情報を発信するサイトがどこであるのかは、はっきりする。

 たとえば、ニュースサイトなどの候補者一覧から貼られているリンクは、候補者の公式サイトになるだろうし、検索エンジンでも通常は公式サイトが上位に表示されるはずだ。「公式HP」は、候補者がどういった支持組織を持っているかに関係なく、ある程度平等に人々の目にとまることになるだろう。

 有権者は、知名度がなく組織選挙もできない候補者も含めて、自分が興味を持った候補者の政策や考え方を確認した上で、本当に投票するのかどうかを判断できるようになる。ここでは、政策を訴える候補者の能力も問われるが、同時に、政治を見る有権者の目も養われる。

 ネット選挙の解禁は、単にネット上の問題を解決するだけではない。ネット外の選挙環境の変化も期待せずにはいられないほど、重要な転換期なのだ。

  ◇ ◇ ◇

 「郵政選挙」で盛り上がり、今年の統一地方選挙でまた話題になったネット選挙問題。今回また先送りになれば、「選挙のたびに議論になるだけの恒例行事」になりかねない。

 ネット解禁は、候補者のメリットにもなるが、そもそも有権者が充分に情報を得るために必要なものだ。政党や議員だけではなく、有権者やネットユーザーがもっと声を大にすべきだろう。

 有権者に選挙情報を与えてくれない現状の公選法なんか、“スクラップ&スクラップ”だ! (つづく

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