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相撲八百長報道:ずさんな取材手法を厳しく断罪 地裁判決

 春場所の優勝争いたけなわという時期に、26日、東京地裁で横綱朝青龍ら力士側全面勝訴の裁きが下った。特に疑惑報道の「主役」にされた朝青龍への賠償額は、場所の優勝賞金1000万円を超える1100万円。千代大海、魁皇、琴光喜らへの220万円は大関の月給(約235万円)に値する高額だ。講談社側のずさんな取材手法に対して、厳しい戒めの判決となった。

 昨年10月、朝青龍が初めて証言台に立ち、本人尋問に答えた。八百長報道で取り上げられた懸賞金の行方について「毎日自分で銀行に行って入れています」など、首をかしげたくなる証言もあったが、八百長報道に沿った質問を繰り返す被告側代理人に「あなた相撲取ったことありますか。取ってみますか」と息巻く場面もあった。

 今回、裁判所が重視したのは具体性と迫真性。講談社側が付け人の行動や、力士の趣味、懸賞金などを引き合いに出して八百長に結びつけたが、これに対して「名誉棄損事実が真実と受け取られやすいものとなっているが(中略)取材は極めてずさん」と断罪した。

 力士の行動は常に見られている。疑われる行動を「八百長」に結びつけた週刊現代の報道の結果、ファンの大相撲を見る目は厳しくなったことは事実。

 場所直前にCMやイベントの撮影をしてみたり、心身の鍛錬の場であるけいこに出てこないなど、力士の本分を忘れるような事態が続けば、また疑いの目を向けられることを、肝に銘じるべきだろう。【上鵜瀬浄】

毎日新聞 2009年3月26日 22時11分

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