【ブリュッセル福島良典】フランスのモラン国防相は24日付の仏紙フィガロとのインタビューで、同国が過去に実施した核実験で健康被害に苦しむ被ばく者に補償するための法案を国会に提出すると明らかにした。これまで仏政府は実験の被ばく被害を公式に認めてこなかったが、「良心に従うべきだ」(国防相)と方針転換した。
フランスは1960~96年に、アルジェリアのサハラ砂漠地帯と南太平洋の仏領ポリネシア・ムルロア環礁などで計210回の核実験を実施した。軍関係者や民間人の被ばく者は推定約15万人とみられている。
補償は白血病や甲状腺がんなど放射線が原因の病気に苦しむ人が対象で、初年度分として総額1000万ユーロ(約13億4000万円)が計上される。独立機関が補償申請を審査するが、申請者が病気の発症と実験の因果関係を証明する必要はない。
フランスの核実験を巡っては、退役軍人や地元被害者団体が賠償請求の訴訟や運動を続けてきた。
毎日新聞 2009年3月25日 東京朝刊