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仏、核実験の被害者補償へ転換 実験情報も公開(1/2ページ)

2009年3月24日20時53分

写真:サハラ砂漠の仏核実験場インエケルに放置された機材。強い放射能を帯びているものが少なくない=07年2月、国末写すサハラ砂漠の仏核実験場インエケルに放置された機材。強い放射能を帯びているものが少なくない=07年2月、国末写す

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 【パリ=国末憲人】フランスのモラン国防相は24日、サハラ砂漠と南太平洋で実施した核実験による被曝者(ひばくしゃ)に対して大規模な補償を実施する方針を明らかにした。このためにまず1千万ユーロ(約13億円)を拠出、これまで機密扱いだった核実験情報も公開する。

 同日付フィガロ紙に掲載されたインタビューで国防相が明言した。米など核保有各国が次々と被害者補償に踏み切る中、仏は被曝者の存在自体を認めない態度をとり続けてきただけに、大きな転換と受け止められている。

 フランスは60〜96年、サハラ砂漠にあるアルジェリアのレッガーヌ、インエケルと、南太平洋の仏領ポリネシアにあるムルロア環礁、ファンガタウファ環礁で、計210回の核実験を実施した。国防相によると、実験に携わって被曝した可能性がある兵士や作業員は15万人に達する。周辺住民を加えると、補償対象者はさらに広がるという。

 計画では、医師や法律家で構成する独立委員会がこれらの人々の健康状態や作業時の状況を、国際基準に照らし合わせて審査する。補償のため、仏国防省は初年度に1千万ユーロを用意する。

 仏政府は長年「核実験は安全で被害者は存在しない」と繰り返してきた。近年は退役軍人の求めなどが相次ぎ、一部の補償に応じるようになったものの、核実験と健康被害の因果関係の証明が被害者側に求められていた。モラン国防相は「もはや証明責任を被害者側に求めない。健康被害が実験によるものでないと国が証明した場合にだけ補償を拒む制度とする」と述べた。

 国防相は大気の汚染状況など核実験情報を大幅に公開する意図も表明。公開すべき情報を選ぶ作業を医師と科学者による専門家チームが進め、今年12月に答申を受ける。

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