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【社会】

新卒内定者に転籍同意書 技術人材派遣大手 新手の『取り消し』か

2009年3月24日 朝刊

 技術者の人材派遣大手「シーテック」(東京都港区)が、来月一日に入社する新卒内定者二百五十人に、関連会社へ転籍する同意書の提出を求めていたことが、二十三日分かった。待遇の低い関連会社に移しかえることで、金銭補償が生じる内定取り消しを避けたとも受け取れ、専門家は「雇用契約の抜け道で悪質」としている。 

 新卒者の話によると昨年五月に内定し、今年二月中旬、雇用通知書と入社式案内が届いたが、三月初めの説明会で、会社からリストラ計画を伝えられ、入社の際、コールセンターなどの関連会社に転籍することに同意する文書を出すよう求められた。また「採用を辞退する人は連絡を」と促されたという。

 雇用契約は転籍先と結び、初任給はシーテック本体より四万円安い。転籍は原則一年だが、復職時期は「経営状況により見直す場合がある」とされた。「同意書なしで入社できる」としながら「待機社員となる場合もある」と説明された。約七十人が同意書を出しているという。

 同社は「新卒内定者の雇用を守るため入社と同時に転籍していただく。現状、当社が対応できる唯一かつ最善の策」と話している。

 東京労働局若年雇用係の話 合意のうえの転籍同意はいけないと言い切れない。入社するなら内定取り消しとしても扱えず、行政指導の対象外となる。

 労働問題に詳しい米倉勉弁護士の話 転籍は出向とは違い、入ったはずの会社に籍がない。戻れる保証もなく転籍先に責任転嫁している。内定取り消しより悪質だ。

 

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