2009年3月24日21時36分
ソフトバンクグループの携帯電話会社など3社が、10年春の採用活動で、応募した学生らに携帯電話の販売をさせて、実績を判断基準にする枠を設けていたことが分かった。入社希望者を実質的に営業活動に使う行為だとして、同社や厚生労働省に学生らから批判が寄せられており、同省も調査を始めた。
ソフトバンクによると、筆記試験や面接で判断する「一般コース」に加え、販売活動を判断基準とする「特別採用コース」として枠を設け、応募した学生ら全員に今月17日に伝えた。
同コースの希望者は、知人にソフトバンクモバイルの携帯電話などを販売し、売り方の工夫などをまとめたリポートを提出。特設サイトを通して購入してもらうことで、ソフトバンク側は紹介者を把握し、採用判断の基準にする。他社から番号持ち運び制を使って同社に移った契約も実績とするという。対象は、ソフトバンクモバイル、ソフトバンクBB、ソフトバンクテレコムの入社希望者。
ソフトバンクは「筆記や面接では分かりづらい営業力をアピールしたい学生を採用するため」(広報)と説明する。学生からの批判の声に対し、「現段階では変更する予定はない」としている。
厚生労働省若年者雇用対策室は「これまでこうした例は聞いたことがない。学生から相談があり、法的に問題があるかどうかを含めて事実関係を確認している」という。
春の商戦は1年で最も多く携帯電話が売れる時期で、ソフトバンクモバイルは米アップルの携帯電話「iPhone」を0円にするキャンペーンなどを展開して契約獲得を図っている。同社は、契約増加数で2月まで22カ月連続して首位をとっており、こうした契約獲得競争も背景にあるとみられる。