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【民主党解剖】第二部(1)小沢ショック 不満蓄積も不気味な静寂 動けぬ反小沢 (1/4ページ)
政権交代まで、あと一歩というところで起きた小沢一郎代表の第1公設秘書の逮捕。激震が走った民主党はどこへ向かうのか。第二部では、ポスト小沢も視野に水面下で駆け引きが始まった党の「今」を追う。
■弱気な“本音”
公設第1秘書の逮捕から2週間がたった17日夜。民主党代表、小沢一郎は東京・赤坂のすし店で、民主党副代表の川端達夫、幹事長代理の平野博文らを相手にビールをあおりながら、こう息巻いた。
「何でオレだけが刺されるんだ。オレをつぶそうとしているんじゃないか」
言葉の端々からは、政権交代という平成5年の自民党離党以来の悲願実現を目の前に、「不公正な国家権力の行使」(小沢)で窮地に立たされたことへの怒りと悔しさがにじんでいた。
小沢はその後も、東京地検特捜部の捜査に対し、全面対決の姿勢を崩していない。19日夜には、幹事長、鳩山由紀夫と東京・銀座の日本料理店で酒を酌み交わし、「戦うことはあきらめない」と検察に「宣戦布告」し、捜査への不信の根深さをうかがわせた。
自身の進退について小沢は、あっせん利得罪などの「新たな事実」の発覚の有無と、次期衆院選への影響を見極めて最終判断する考えを表明している。
だが、強気の姿勢とは裏腹に、やはり骨身に応えているようだ。自宅に報道陣が押し寄せるため、めったに帰宅せずにホテル暮らしを続けており、ストレスもたまっているという。
最近では、周囲に「腰が痛い」と愚痴をこぼし、こんな弱気な“本音”も漏らしている。
「(秘書を)東京地検が逮捕するんだから、起訴できる材料があるんだろうな…」
13日には、新党日本代表の田中康夫が宿泊先のホテルに小沢を訪ね、かつて小沢の政治構想力を絶賛し、親身になって助言していた文芸評論家の江藤淳(故人)のコラムを手渡した。小沢はほおを緩めて紙をめくり、こう語った。
「懐かしいなあ。江藤さんは本当にボクを支援してくれた。後で改めて読んでみるよ」