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少子化対策PT:「妊娠率、20代後半から下がる」早期教育必要 第3回会合

(左から)不妊に悩む人のための自助グループ「フィンレージの会」スタッフの鈴木良子さん、国立成育医療センター周産期診療部不妊治療科の斉藤英和医長を招いて行われた少子化対策PTの第3回会合=内閣府で
(左から)不妊に悩む人のための自助グループ「フィンレージの会」スタッフの鈴木良子さん、国立成育医療センター周産期診療部不妊治療科の斉藤英和医長を招いて行われた少子化対策PTの第3回会合=内閣府で

 少子化問題に取り組む「ゼロから考える少子化対策プロジェクトチーム(PT)」(主宰・小渕優子少子化対策担当相)の第3回会合が9日、内閣府で開かれた。不妊治療の実態を知り、少子化問題とかかわりがあるのかどうか検討した。

 PTメンバーは、NPOファザーリング・ジャパン代表理事の安藤哲也さん、経済評論家の勝間和代さん、第一生命経済研究所主任研究員の松田茂樹さん、日本テレビ解説委員の宮島香織さん、東京大学社会科学研究所教授の佐藤博樹さん。この日は不妊治療の医療現場にいる国立成育医療センター周産期診療部不妊治療科の斉藤英和医長、不妊に悩む人のための自助グループ「フィンレージの会」スタッフの鈴木良子さんが有識者として出席、現状の課題と将来施策への提言を話し合った。

 斉藤さんは、少子化、晩婚化、子宮内膜症の増加、乏精子症・無精子症の増加、性感染症の増加、メタボリック症候群が進み、「生殖補助医療が必要とされてきている」と説明。現状の不妊治療は個人クリニックで受ける場合が大多数だが、研究の必要性や治療内容・技術の標準化を図るうえでも、公的な不妊専門センターを設立し、理想的な不妊治療体制を整えるべきだと提案した。また「20代の後半から妊娠率は下がるということを知らず、年をとってから焦って来院する人が少なくない。若いうちに人生設計を考えるような教育が必要だ」と訴えた。

 鈴木さんは、不妊治療を続ける苦しさ・つらさは、外からも心の内からも発生すると説明。「お子さんは?」などと聞かれたり「子どもを生み育てるのは国民の義務だ」などと言われる悲しさ、「自分は劣っているのでは?」「パートナーに申し訳ない」などの悩み、「預金を取り崩した」「仕事と病院通いの両立が難しい」などの生活上の課題など、社会的な意識・制度の未熟さを指摘した。さらに、不妊治療=少子化対策ととらえるのではなく、家族政策や労働政策、科学技術政策、医療政策にも深くかかわっていると強調した。

 小渕担当相は、「少子化対策といっても、昔のような『産めよ増やせよ』ではなく、子どもを持ちたいと思う人が持てるような社会にするため、国は現実的・具体的に何ができるのだろうということを考えたい」と述べた。

 厚生労働省の02年度の調査によると不妊治療患者数は推計46万6900人。人工授精1回あたりの平均治療費は1万円、体外受精は30万円、顕微授精は40万円。経済的負担の軽減のための補助金制度があるが、現在の所得制限が適当かどうかなど補助の内容を検討するべきだとの議論があった。さらに、不妊治療や家族計画について社会全体の意識も低いことから、早期教育・早期認識させる機会を設けるべきだとの意見も相次いだ。

 次回第4回会合は3月24日、「ワークライフバランス・父親の育児参加」をテーマに行われる。全5回で、最終回は4月7日、「幼児教育・公教育」がテーマ。【浜田和子】

2009年3月12日

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