松井秀、退任のトーリ監督に感謝

　無駄口をたたかず、組織のためにやるべきことをやる。１９日に退任を発表したヤンキースのジョー・トーリ監督がヤンキースで築いた世界に、日本から２００３年に来た松井秀喜は何の苦もなく溶け込んだ。

　「自分がそれまで持っていた考え方や取り組み方を、そのまま何も変える必要はなかった」と松井秀は振り返る。静かなチームリーダーだった巨人時代と変わらぬ姿勢で野球に臨めばよかった。

　トーリ監督の仕事は選手の不満や不安を取り除き、全選手がチームのために働きたいと思うようなチームをつくることだった。それが実力派のそろうヤンキースにはまった。

　極度の不振で監督室に呼ばれた１年目の６月。好機の凡退でシーズンが終了した３年目の地区シリーズ後の夜−。何度もトーリ監督と話した。「相手の話を聞き、とことん話し合う。それでいて一貫した考えがあってそれは揺るがない」。追い詰められ、ひざをつき合わせた時間も、今は温かい思い出だ。（共同）