電通マン装った詐欺犯「１億円えっち男」

　大手広告会社電通の社員をかたり、女性タレント（２６）からホテル代を詐取したとして、警視庁東京湾岸署が１３日までに、詐欺の疑いで東京都世田谷区の無職佐々木秀之容疑者（４６）を逮捕した。ＣＭに起用するなどとだまして高級ホテルで性的関係を持ち、立て替えさせたホテル代約２万４０００円を詐取した疑い。同容疑者は、インターネット上の一部ニュースサイトで「１億円えっち男」として実名告発されていた“指名手配犯”だった。

　東京湾岸署の調べでは、佐々木容疑者は昨年７月下旬、芸能事務所の知人を通じて連絡を取った女性タレントを、東京都目黒区中目黒のファミリーレストランに呼び出し「自分はブリヂストンの後継ぎの石橋だ。電通で働いている。あなたをブリヂストンのイメージガールにしたい」などと持ちかけて接近。翌日、「あなたはもっとぜいたくをしたほうがいい」と、高級店の雰囲気などを身につけるよう“指導”して「海の見えるホテルを取ってある」と、女性を港区台場の高級ホテルに誘ったという。

　佐々木容疑者は、イメージガールやＣＭ出演の話に興味があったためにホテルに出向いた女性と２人で、１泊２万４０００円の部屋に宿泊。女性と性的関係を持った上で「後であなたの家賃を含めて１５万円あげる。ホテル代を立て替えてほしい」とし、宿泊料を女性に支払わせ、だまし取ったという。同容疑者との連絡が取れなくなって被害に気付いた女性が０８年７月末、同署に相談していた。

　今年２月、別の女性が同様の被害を東京湾岸署に相談し、「電通の石橋」が「佐々木秀之」容疑者だったことが判明。女性タレントが被害届を出した。佐々木容疑者は「他にも似たようなことがあったので、顔と名前が一致しない」と供述。同署によると、同容疑者は数年前から有名大企業の経営者一族をかたって、イベント会場に出没し、同様の手口で複数の女性タレントに接近してホテルに誘うなどしており、供述などから、余罪が多数に上る可能性がある。

　佐々木容疑者は、インターネット上の一部ニュースサイトで、０５年ごろから「１億円えっち男」として、実名と顔写真入りで告発されていたが、その後も犯行を繰り返していたとみられる。

　［2009年3月14日7時31分　紙面から］