2009年3月19日 20時35分 更新:3月19日 21時38分
【ニューヨーク小倉孝保】米国で陪審員が裁判中、携帯電話端末でグーグルなどインターネットの検索サイトに接続し、規則に反して担当事件の情報を入手、裁判に支障をきたすケースが相次いでいる。18日付の米紙ニューヨーク・タイムズなどが報じた。
同紙によると先週、南部フロリダ州で開かれた麻薬関連の連邦刑事裁判で、陪審員1人が裁判官に、インターネットで事件について調べたことを認めた。裁判官が他の8人の陪審員を調べたところ、全員が同じようにネットで情報を入手していたという。裁判官は裁判手続きのミスを宣言し、公判を停止させた。同紙は「グーグル誤審」と呼んでいる。
また、AP通信によると南部アーカンソー州では12日、民事裁判の当事者だった建設資材会社社長が陪審の評決を不服として控訴した。社長側は、陪審員が「ツイッター」と呼ばれるインターネットサービスを介して外部と情報を交わし、裁判情報を流していたと主張している。
このほか、東部ペンシルベニア州でも先週、刑事裁判で陪審員がネット上の交流サイト「フェースブック」を使い、裁判情報を外部とやりとりしていたことが明らかになっている。
米国憲法は陪審員に対し、法廷で明らかになった事実だけをもとに評決を下すよう求めている。このため、陪審員は裁判中、ホテルなどに「缶詰め」にされ、テレビを見たり新聞を読むことも禁止されることが多い。
しかし、インターネットに簡単に接続できる携帯電話が登場したことで、陪審員が法廷以外から情報を入手するケースが出てきたようだ。地元メディアによると、トイレに行く時などにこっそり携帯電話でネットに接続しているという。
日本の最高裁のホームページによると、5月に始まる裁判員制度では、裁判が1日で終わらない場合、裁判員には帰宅が許される。テレビや新聞、インターネットなど外部情報に接することは制限されていない。ただ、裁判員としての判断はあくまで法廷で示された証拠のみに基づく。裁判員から証拠以外の情報による意見があった場合、裁判長らがそれを指摘し、証拠に基づいて判断するよう求めることになる。