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民主、雇用法案修正「腰砕け」 施行日前倒しのみ

2009年3月18日1時26分

 非正社員の雇い止めなどに対応した雇用保険関連法案が17日、年度内に成立する見通しとなった。「雇用国会」と呼ばれる今国会で初の雇用関連法案で論戦が期待されたが、修正協議は与党ペース。民主党側が引き出せた譲歩は施行日の3月31日への1日前倒しに終わった。

 「100点でなくとも、この年度末さらに失業者が出るのは必至。今すぐできることは90点、80点でもやった方が国民的にも理解して頂ける」

 民主党が17日開いた緊急雇用対策本部で、菅直人代表代行は修正協議をこう総括した。年度末に失業する人も救済対象に含むべきだ、という野党側の主張が通ったことを念頭に置いた発言で、この修正で新たに10万人程度が改正の恩恵を受ける見通しだ。

 ただ、昨年末の臨時国会で独自の雇用保険関連法案を参議院で強行採決し、与党側に成立を強く求めたときと比べると、今回は腰砕けの感がぬぐえない。

 雇用保険の安全網から漏れた失業者の再就職を支えるため、民主党が法案化を目指した「求職者支援制度」は、付帯決議にとどまり、創設は政府・与党側に委ねた。「政府案では約1千万人いる雇用保険に入っていない非正社員のうち、148万人しか救えない」と拡大を主張した加入要件ではゼロ回答。「働く者は原則雇用保険に加入させる」として「31日以上の雇用見込み」への引き下げを求めていたが、「6カ月以上」の政府案を追認した。

 修正が小幅に終わった理由について、厚生労働委の民主党議員は「施行日が迫る中、雇用の問題で民主党がつぶしたという状況は避けたい」と説明する。別の議員は国会対策委員会から反対を避けるよう指示が出ていたことで、「与党に足元をみられた」。小沢代表側への違法献金事件で民主党に逆風が吹く中、経済・雇用対策を中心に、対決姿勢を取りにくい同党国対の事情も影響したと言えそうだ。(南彰)

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