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アルブミン、国内自給に“黄信号”

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 出血性ショックや重症熱傷、肝硬変に伴う難治性腹水などの治療に必要なアルブミン製剤(遺伝子組み換え製剤を含まない)の国内自給率の伸びが昨年、マイナスに転じた。国はアルブミン製剤を含む血液製剤の国内自給を目標に掲げており、自給率は近年、上昇傾向にあった。厚生労働省では「自給率が低下すると、国内の献血が無駄になる可能性もある」として危機感を強めているが、DPC(入院費の包括払い)を導入する病院が増加し、比較的安価な外国製のアルブミン製剤を選択する病院が増えた可能性も指摘されている。

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 厚労省の資料によると、この約25年間、アルブミン製剤の自給率は上昇してきた。2002年には血液法が制定され、「倫理性」や「国際的公平性」などの観点から、国内の献血で得られた血液を原料にして血液製剤を製造する体制の整備を目指す「国内自給の原則」が示された。アルブミン製剤の自給率は02年の時点で36.4%だったが、07年には62.7%にまで上昇。しかし昨年は、前年比2.0ポイント減の60.7%とマイナスに転じた=グラフ=。

 自給率低下の要因として指摘されているのが、DPC対象病院の増加だ。厚労省の薬事・食品衛生審議会の血液事業部会で委員を務める久留米大医学部附属病院副院長の佐川公矯氏は、「DPC対象病院が材料費の削減に動き、国内のアルブミン製剤より安価な海外の製剤を選択する状況にあるのではないか」と指摘。同省血液対策課の秋山裕介氏も、「自給率が伸びてきた中にあって、減少に転じるのは近年ない傾向。関係者の間でも『DPCが要因ではないか』との声が上がっている」と語る。

 厚労省によると、アルブミン製剤を供給している国内の事業者は、日赤や日本製薬など4社で、代表的なアルブミン製剤の薬価はそれぞれ、8039円、7421円、7343円、7008円。これに対し、輸入されたアルブミン製剤の薬価は、5782円と5619円で、国内のアルブミン製剤と比べて低い。秋山氏は「実勢価格ではもっと安いということも考えられる」としている。
 一方DPCは、高度な医療を提供する「特定機能病院」など82病院で03年度から導入されて以来、導入する病院が増え続けている。厚労省によると、昨年7月1日の時点でのDPC対象病院数は718病院。09年度には、新たに約570病院が対象となる予定だという。

 秋山氏によると、現段階では、アルブミン製剤の自給率低下とDPC対象病院の増加の関連性を示す明確なデータはない。しかし、「自給率が下がると、国内の献血が無駄になってしまう可能性もある。非常に深刻な問題だ」として、対応策を検討中という。DPC対象病院の増加が自給率の低下にかかわっている可能性も想定しており、「(アルブミン製剤など血しょう分画製剤を)『DPCの対象から外す』ことが、議論に上ることもあり得る」としている。
 佐川氏は「病院で使用する薬剤を決めてしまうと、医師個人で使用する薬剤を選択するのは難しい」と指摘。「厚労省は、国内のアルブミン製剤の使用を病院に呼び掛けるなどの対応をする必要があるのではないか」と話している。


更新:2009/03/18 23:04   キャリアブレイン


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