1999年03月18日

第484話「運命の大学受験XVI」

テーマ:運命の大学受験

高校生編非公開部分 及び 美沙最終章『天使の唄』が
電子書籍で閲覧が可能になりました~♪


こちからご覧くださいませ。


【外伝シリーズ】

浅井武勇伝 / さくら雪(美沙)
12/20(土)更新第5話

BGM(PC限定)


。・。・゜★・。・。☆・゜・。・゜


「私は…静香さんを…」

心から愛しています。一緒に暮らしたいです」





そう…



これは、間違いなく俺の本音。


100%嘘偽りのない真実。






俺は…

































静香を手放したくない。





































だけど―――



































だからと言って…












































「でも…」



「でも?」



「でも、だからと言って…

私は…
















お父さんとの約束を破ってまで
静香さんを連れていこうとは思っていません」





思わず目を瞑りたくなった。



俺がセリフを口にしたとき…

ガックリと落胆の色を見せた静香の顔が視界に入ったとき、

彼女の気持ちが痛いほど伝わってきたから…





思わず目を瞑りたくなった。








静香は…





俺のことを酷いって思ってるかもしれない。


俺の愛は偽者だったって思ったかもしれない。


自分のことより親に対する対面ばかりを気にする
しょうもない男だったんだってガッカリしてるかもしれない。









だけど…



静香にどんな風に思われたって、
これだけは譲ることはできない。




俺が一番望んでいるのは…










なによりも静香の幸せなんだから。





無理矢理彼女を連れていったって、
幸せになんかなれるわけがない。


いつか後悔するに決まってる。







このことは…

今まで何度も静香に言ってきたこと。








「静香さんがご両親から勘当されてまで
連れていこうだなんて全く思っていません。

そんなことをしたって、
静香さんが幸せになんかなれるわけないですから…」




俺の言葉に…

最初に反応して口を開いたのは…




「せんせぇっ!!
なんで?!
なんでそんなこと言うの?!

わ、わたしは…
わたしはせんせぇさせいれば…
せんせぇがそばにいれてくれば、
それだけで…

幸せなのに…」






そう…


静香だった。










時折ヒックヒック喉をつまらせながら、



「せんせぇ、せんせぇ…ううっ…
や、やだよ、わたし…
ひっく、せんせぇと…ううっ…
わ、別れたくないよ…」




って涙ながらに訴える姿に…








心臓が締め付けられそうだった。









そして…







彼女はすっと席を立ったかと思うと、









俺のそばに近寄るや否や、床にひざまつき、



なんと…










俺の足元に抱きつくように
泣き出したわけで…(大汗)













どんどん雫色に染まっていくズボンを見て…



苦しくて苦しくてたまらなかった。

















「静香、泣くなよ…

俺は別にお前と別れたいなんて
全然思ってないよ?」




これは…

泣きじゃくる彼女を慰めようとして
ついつい口から出てきたわけなんだけど、



それを聞いたお父様は…


君はなにか勘違いしてるんじゃないか?

と言わんばかりの顔をして…




「娘は第一希望に大学に落ちたんだ。
君は最後のチャンスをものにできなかった。

それを分かってるのか?」



と仰いましてですね…



その途端…
ますます激しくなる静香ちゃんの嗚咽デス…(汗)



この嗚咽は…
これまでのものとは質が違うっていうか…

やっぱりお父様は自分たちを
別れさせようとしているんだって確信して、

どうにもならない運命を呪うような
ものすごい大泣きでした…(汗)




あ~ん(大汗)








そして…

足元の少女をどうすることもできず
途方にくれるオッサンに、

お父様からとどめの一言。




「君が娘と別れようと思ってる、思ってないは
全然関係ないんだよ。
娘を強引に連れていかないんだったら、
約束通り別れるしかないよね?」



「………」






嗚呼…

完膚なきまでの敗戦、とは
まさにこのことなんだな…_| ̄|○ililil


こんな場面だっていうのに、
ホントどうでもいいことを考えているオッサンに、

お父様が言葉を続けます。








「ヒカル君…
君にもう一回聞きたい。

君は最後のチャンスをものにできなかった。
このままなら娘と別れるしかない。

それでも娘を無理矢理連れていきたいと
思わないのか?

娘と別れることになっても
仕方ないって思ってるいるのか?」





その瞬間…


俺の足元の彼女が
ピクッとしたのが分かりまして…


この泣き虫さん…

え~んえ~んとうるさいけど、耳だけは
俺たちの会話に集中しているみたいデス…



そして…

俺の足元を抱く腕の力が
さっきより力強くギュッとなったのは…

気のせいじゃなく、間違いなく彼女の意思であって…


今度こそ、私を裏切らないで…

そう言っているように思えたわけであり…












分かってる。





お前の気持ちは痛いほど分かってる。






でも…





分かってるけど…






















「はい…
娘さんを無理矢理連れていくつもりは
一切ありません。

お父さんが静香さんと別れろって仰るのなら、
約束通り別れます」



「せ、せんせぇ…」



顔をあげた彼女から漏れた悲痛な声―――



「でも…

私は…僕は諦めません。

いつか…
いつかお父さん、お母さんが認めてくれるまで、
ずっと待ってます。

静香さんが僕のことを想い続けてくれる限り、
僕はいつまでもお許し頂けるのを待ってます」






そう…





それしかなかった。













静香を幸せにするためには…



周囲の祝福が絶対に必要だって思うから。










俺が彼女に赤ちゃんのことで説教したことだってそうだ。

自分の両親からの愛情なくして、
どうして、自分の子供に愛情を注げるんだよ。





だから…

ご両親から認められないなら、交際したって意味がない。

そう思ったんだ。










「私たちが許してくれるまで待つ…か…

一生そんなことないかもしれないぞ?
君の残りの人生、棒に振るかもしれないのに、
それでもいいのか?」




「構いません。
もし、今後お父さん、お母さんから
私たちの交際を認めてもらえなかったとしても、

静香さんのことを想い続けて人生が終わるなら…

私は…それで幸せです…」




「なるほど…

でも、娘が気持ちが変わったらどうする?

人生は長いんだ。
君に会えない間に、
他の男性を好きになることもあるかもしれない。
そんなことになったらどうする?
君は娘を絶対恨まないって言えるか?
自分を裏切ったって言い切れるか?」




お父様がそう言ったとき、


「私は他の人なんか好きにならないもんっ!!」


と静香が口を挟んできたけど、

手でそれを静止すると、




「仮にそうなったとして…」



と、前置きして…

一端、喉にたまった唾をゴクリと飲み込んだあと、



「それなら結構なことじゃないですか。
静香さんが、他の人を好きになって、
それをご両親がお認めになって、幸せになれるなら…

私はそれで良かったって思います。
静香さんが心から幸せを感じてくれるなら、
私もそれで幸せです。

もちろん本音としては、
私が静香さんを幸せにすることが一番の望みですけど…

静香さんが私のことをもう好きじゃないってことになれば、
それは諦めるほかないと思ってます」





これは嘘じゃない。


強がりなんかでもない。



静香が俺のことを好きでなくなれば、
それは仕方ないことだって本気で思うから。





それと…







「お父さん…
娘さんのことを恨まないかって仰いましたけど…

そんなことは絶対にありません。

私は、静香さんに感謝こそすれ、
恨むようなことは100%ありません。

静香さんがいたから…

私はここまでやってこれました。
死ぬほど辛いことがあったときも、
静香さんがいたから頑張ってこれました。

大袈裟だって思われるかもしれないですけど、
静香さんがいたから、私は今日まで
生きてこれたんです。

静香さんには…

今日まで一緒にいてくれてありがとう…

言いたいのはそれだけです。
本当に心からそう思ってます」






















あの日…








俺は死のうって思った。








美沙とうまくいかなくなって…



破滅が確実になったあの日、



俺は死んでもいいって思った。



美沙と別れるくらいなら
死んだほうがマシだって思った。









だけど…






















静香がいたから…























静香が…














「これからは…
せんせぇのそばには、
ずっとずっと私がそばにいるからね…
ずっとずっと…
死ぬまで一緒にいるからね…」











そう言ってくれたから…



















俺は今日まで生きてこれたんだ…
































「せ、せんせぇ…」



さっきまで号泣してたくせに、
いったいどこにそんだけ水分たまってんだよ、と
突っ込みたくなるほど、

またまた大泣きを始めた静香なわけであり…









「分かった…
君の気持ちはよく分かったよ…」



お父様は…

軽く右手の袖口を目にやると…

何故そうしたのかは分からなかったけど…


視線を俺から娘のほうへ移し、




「静香…

これ見てごらん…」



床下で泣きじゃくる彼女に言いました。





ん?



お父様が手にしたのは…

テーブルの上にあったパソコンであります。


なんだなんだ???



目を真っ赤にはらした静香ちゃんは、
お父様の差し出したパソコンに視線をやって、



「なに?」



わけが分からないときょとんとした顔。



ハァとため息をつくお父様。




「ホントにお前は…」



呆れたように言ったあと、


「ほら」


と差し出したのは、
なんか数字の入った小さな紙。






それは…



























(第2希望の)B大学の受験票?!




「え? え?」


と、俺とお父様の顔を交互に見る静香に、



「いいから、自分で確認しなさい」


とお父様。
























え………





























そ、それって…?!
























パソコンの画面いっぱいに表示されている番号と、

自分の受験票の番号を何度も見返す静香ちゃん。




いい加減、自分の番号覚えろよ…(汗)

と、内心つっこみながら、

俺も横からパソコンをのぞきこんで探していると…





































「あああああああああああああああああああ!!!」





次回も…

24時間期間限定公開です!!

あと1回か2回で24時間終了デス。
もうちょっとだけお付き合いしてネ。


【問題】

「あああああああああああ!!」
静香が叫んだかと思うと…
「わ、わたし…」

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