2009年3月18日20時0分
マクドナルド側との和解が成立し、会見で笑顔を見せる原告の高野広志さん=18日午後、東京・霞が関の司法記者クラブ、橋本弦撮影
日本マクドナルドの高野広志店長(47)が残業代や労働時間管理の対象外となる管理監督者かどうかが争われた訴訟の控訴審は18日、東京高裁で和解が成立した。会社側は、高野さんが管理監督者には当たらない「名ばかり店長」だったことを認め、不払いの残業代など計1003万7千円を支払う。
大手企業が「名ばかり店長」の存在を認めたことで、残業代を払わずに長時間労働を強いる動きを抑制することになりそうだ。
和解後の会見で、高野さんは、「自分だけの問題ではなくなり、変な結論は出せないと、すごいプレッシャーだった」と述べた。昨年1月、東京地裁は、権限が店舗内に限られ、経営と一体的な立場にない場合は、管理監督者には該当しないと判断した。この判決は、長年、改善が進まぬ名ばかり店長問題への社会の関心を一気に高めた。
日本マクドナルドも制度変更を迫られ、昨年8月から店長を管理監督者から外し、残業代も支払うようになった。
しかし、05年の提訴以来、現役店長を続ける高野さんに、会社側が降格を示唆する場面もあったという。このため、和解では、「訴訟の提起を理由に降格や配転をしない」との条項も盛り込んだ。
日本マクドナルドは「和解がベストとの経営判断をした。今後も、社員の労働環境とワークライフバランスに関する活動を実施していく」とのコメントを発表した。