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中国残留邦人:2、3世も不況深刻 雇用不安、言葉の壁も

 製造業を中心に非正規労働者の失業が急増する中、日本に定住する中国残留邦人2、3世たちも生活苦に直面している。残留邦人2、3世は、言葉の壁もあって単純労働に就く人が多いうえ、中国語通訳が不足しているハローワークをほとんど利用しないため、問題が表面化してこなかった。関係者は「国が実態を調査し、就労支援する必要がある」と指摘する。

 大阪府豊中市の3世、井峰恵子さん(25)と趙敬強さん(25)夫妻。井峰さんは00年、趙さんは05年に来日した。井峰さんは妊娠中で働けず、趙さんの収入が頼りだが、昨年12月に期間工として働いていた兵庫県尼崎市内の家電部品工場から契約を打ち切られた。趙さんはハローワークに通うが、日本語がほとんど話せず、新たな仕事は見つからない。2人は「出産でお金もかかる。不安だ」と頭を抱える。

 94年に来日した同県宝塚市の2世の女性(45)は、派遣など非正規労働者として電機部品や食品工場を転々としてきた。昨年10月から同県伊丹市内の携帯電話組み立て工場で期間工として勤務。時給は900円、社会保険もない1カ月契約で、同12月24日に突然、「26日で辞めてほしい」と解雇通告された。女性は中国に住む大学生の長男に仕送り中。「できるだけ日本で頑張りたいのに」と話す。

 戦後の混乱で中国に取り残された残留邦人の子や孫に当たる2、3世は、90年の出入国管理法改正で日本の定住が認められたのを境に急増。現在、残留邦人と2、3世合わせて約10万人が定住すると推定されている。厚生労働省の03年度の調査によると、就労する2世らのうち8割近くが製造業や建設業などの単純作業に従事しており、低賃金と不安定な雇用実態がうかがえる。ところが、改正中国残留邦人支援法では、2、3世やその配偶者の大半が生活支援の対象外だ。

 問題が表面化しなかったのは、多くがハローワークを利用しないためとされる。全国550のハローワークのうち、中国語通訳を置くのは40カ所だけで、仲間内の口コミで就職するケースが多い。

 中国残留邦人の実態調査をしている浅野慎一・神戸大大学院教授(社会学)は「今の状況では失業しても次の職業を見つけるのは難しい。国は言葉の問題も考えた独自の支援をすべきだ」と指摘している。【日野行介、樋口岳大】

毎日新聞 2009年3月16日 16時15分

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