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設楽ダム 予定地のネコギギ移動放流実験

確認匹数わずか


察のため捕獲したネコギギ

 設楽ダムの建設計画で、国交省中部地方整備局設楽ダム工事事務所は31日、水没予定地内の豊川に生息する国の天然記念物・ネコギギを別の場所に移すための調査結果を発表した。人工的に繁殖させた稚魚100匹を、現在はネコギギが生息していない川の淵に昨年放流したところ、今年になって3回の追跡調査でそれぞれ1匹しか確認されなかった。同事務所の担当者は「数年かけて調査しなければ結果は出ない」と話している。

 ネコギギは伊勢湾、三河湾に注ぐ河川だけに生息するナマズに似た淡水魚。これまでの調査で、宇連川合流点より上流の豊川の約140か所の淵で生息が確認されているが、このうち19か所で水没などの影響が懸念されている。

 同事務所は2年前から、ネコギギを別の場所へ移すことにより生息域を確保しようと、放流実験を開始。昨年10月、稚魚100匹を豊川上流の実験淵に放流した。直後には11匹を確認したが、今年8月には1匹、9月には1匹を確認後、同一の個体の可能性もある1匹を捕獲しただけにとどまり、定着していないことが分かった。

 同事務所では、今年も11月〜来年4月に、3回に分けて100匹以上の放流実験を予定している。これについて同事務所が魚類の保全方法について指導・助言を依頼している設楽ダム魚類検討会メンバーの渡辺勝敏・京都大学大学院准教授は、「どういう移植先がいいのか、基礎実験の段階で判断がつかないままダム建設計画が進んでいることに懸念を覚える」と話している。


2008年11月1日  読売新聞)
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