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波紋広げるAIG高額ボーナス 「日本式謝罪」要求も

3月17日20時59分配信 産経新聞


 【ワシントン=渡辺浩生】政府の支援を受けて経営再建中の米保険最大手アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)による高額ボーナス支給問題は16日、オバマ大統領が「あらゆる法的手段」を使って支給を阻止すると宣言する異例の事態に発展した。世論の怒りはエスカレートし、「日本式の謝罪」を求める有力議員も現れた。税金を流用した高額ボーナスを許せば、有権者の不満が政権不信に転嫁される恐れもあり、大統領は直接介入を決断した。

 オバマ大統領はホワイトハウスで、総額1700億ドルの公的支援を受けるAIGを「無謀と強欲によって自ら金融的な苦境に陥った企業」と呼び、「トレーダーたちのいかなるボーナスも正当化されない」と激しい口調で訴えた。

 米紙ウォールストリート・ジャーナル(電子版)によると、AIGのリディ最高経営責任者(CEO)は幹部社員に総額1億6500万ドル(約160億円)のボーナスをすでに支給したことを明らかにした。

 この支給について、ABCテレビによると、上院財政委員会のグラスリー共和党筆頭理事は「彼ら(AIG経営陣)が日本の例にならって、国民の前で深く頭を下げておわびして、それから辞任か自殺かのどちらかをすれば、私の気持ちも少しは収まるだろう」と述べ、不祥事を起こしたときの日本企業の対応を見習うよう求めたほどだ。

 AIGを糾弾する声が一気に噴出した背景には、高額ボーナスの支給対象がAIGを経営危機に追い込んだ金融商品部門の幹部社員だったことも大きい。

 同部門は、住宅ローン担保証券などが焦げ付いた際の元利保証を契約するクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)を扱い、最大時には元本を4400億ドルにまで膨張させたが、07年夏のサブプライム問題表面化と昨年9月の「リーマンショック」を契機に取引先から担保請求が殺到し、AIGが破(は)綻(たん)の危機に陥るきっかけとなった。

 AIGへの資金供給を支える連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長は今月の議会証言で、規制の穴をくぐってCDSにのめり込んだAIGの金融商品部門を「ヘッジファンド」と呼んだ。同部門に対する高額ボーナスの支給は「言語道断」と、サマーズ国家経済会議(NEC)委員長も言い切る。

 オバマ大統領の立場は難しい。高額ボーナスへの税金の流用を許せば、政権が世論の批判を浴び、大型予算の議会通過も困難になろう。財務省は、今月2日に決定した300億ドルの追加支援の条件に賞与の全額返還を加えるなど、複数の手段を検討中だ。いかに着地点に導くか、大統領の手腕が試されている。

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最終更新:3月17日20時59分

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