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不況にのまれるホームレス 雑誌減り…空き缶暴落「並び」もない (3/3ページ)
時給1000円といわれ、多数のホームレスが潤うことになるが、ホームレス男性(58)は「並びの仕事が減った。店がホームレスの買い占めを嫌ってか身分証を見せろと言うようになり、頼まれても買えなくなった」と話す。
昨年1月現在の国の調査では、全国のホームレスは1万6018人。調査を始めた平成15年に比べ36%減った。厚生労働省は「景気の良さが続いた影響が大きい」とみている。
不況を受けた今年1月の調査は集計中で、厚労省の担当者は「自治体によっては人数が増えたとの声もあるが、失業しても路上生活者になるにはタイムラグがあり、今後どうなるか正直読めない」と話す。
新宿区のホームレス向け相談窓口には1月に入って以前の約1・5倍に相談者が増え、多い日は100人が訪れる。「缶拾いや雑誌集めでは稼げなくなったと相談に来る人のほか、『派遣村に行こうと思ったら終わっていた』と地方で職を失った元契約社員も来る」(区生活福祉課)という。
都内でボランティア団体が行う炊き出しに並ぶ人も日増しに増えている。支援者によると、若い人の姿を目にするようになった。
「景気が悪くても、仕事は空き缶や雑誌集めしかない。世界の経済がよくなることを祈るしかないね。ホームレス同士のけんかも増えているし…」。豊島区で炊き出しに並んだ男性はそうつぶやいた。
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【用語解説】ホームレス
国は平成14年の「ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法」で「都市公園や河川、道路、駅などを起居の場所として日常生活を営んでいる者」と定義。昨年1月の調査では大阪府が最も多く、4333人。次いで、東京都3796人▽神奈川県1720人▽福岡県1082人▽愛知県851人。国や自治体は各所に保護センターを設け、就労支援を行うことでホームレスを減らすことを目標にしている。