新聞を読まない麻生首相は、テレビを見てニンマリしているかもしれない。民主・小沢代表の第1秘書逮捕後の今月6〜8日に実施された日本テレビの世論調査で、内閣支持率が急上昇したのだ。
それによると、麻生内閣の支持率は前回2月の9.7%から18.8%と倍増。麻生と小沢のどちらが総理にふさわしいかという質問でも、前回16.3%だった麻生が27.7%と増やし、40.6%から21.7%に減らした小沢を逆転した。
7〜8日に実施したテレビ朝日の調査でも、内閣支持率は21.1%と2月から7.4ポイント増と大幅に増えている。
だが、これが今の国民の声を反映しているかというと、大いに疑問だ。同じ時期にやった新聞社の内閣支持率の調査を見ると、朝日が13%→14%、毎日は11%→16%と上げ幅はチョボチョボ。読売は19.7%→17.4%と逆に減らしているのだ。また、3紙とも、麻生より小沢が「首相にふさわしい」との結果が出ている。
いったい、どういうことなのか。
「世論調査をするとき、相手に“テレビ局の調査”と伝えると、質問される方は、どうしてもニュース映像を頭に思い浮かべてしまう。テレビではそのころ、移動中や会見での小沢の憮然とした表情が繰り返し流されていました。その結果、多くの視聴者が“小沢は悪そうだ”というぼんやりとしたイメージを刷り込まれた。そんなときに、麻生を支持するかと聞かれると、なんとなく麻生の方がマシかなと思えて、『支持する』と答える。そんな人が今回は多かったのでしょう」(マスコミ関係者)
大したニュースがないときも、テレビは、首相や官房長官、そのほかの大臣の発言を垂れ流して時間を稼いでいる。どうしても政府与党に偏った報道が多いのだ。そんな姿勢も、視聴者のイメージ形成に影響を与えている。
テレビの世論調査は信用しない方がいい。
(日刊ゲンダイ2009年3月11日掲載)