1999年03月15日

第483話「運命の大学受験XV」

テーマ:運命の大学受験

高校生編非公開部分 及び 美沙最終章『天使の唄』が
電子書籍で閲覧が可能になりました~♪


こちからご覧くださいませ。


【外伝シリーズ】

浅井武勇伝 / さくら雪(美沙)
12/20(土)更新第5話

BGM(PC限定)


。・。・゜★・。・。☆・゜・。・゜



俺が部屋に入ると、最初、お母様が、



「お茶入れてきます」


と台所に行こうとしてたんだけど、



「いや、もう遅いから、さっさと話をしよう。
お茶はいいからお前も座りなさい」


というお父様のお達しにより、
すごすごと自分の席に戻るお母様であります…。







で…


俺を含めた4名全員がテーブルにつくと、



「家を飛び出した理由は…

第一志望(A大学)に落ちたからか?」



と、お父様により、
さっそく口火が切られました。









半べそ状態の静香ちゃんは…



叩かれたことにすねているのか、
うつむいて黙ったままでして…

時折、彼女のほうから聞こえてくるのは、
ぐすっぐすっと鼻をすする音だけ。




イラッとした表情を見せたお父様に気付いたお母様が、


「静香、ちゃんと答えなさい。
お父さんもお母さんもずっと心配してたのよ?
あなたも大人だったら、ちゃんと説明しなくちゃ?
お母さんの言ってること分かるわよね?」



とすさかずフォロー。




すると、さすがに頑固者の静香ちゃんも、

こんな風に優しく言ってくれるお母様まで
敵に回したくないって思ったんでしょうか…

素直に顔をあげて…



「そう…だよ…

Aに落ちたからだよ…」




ぼそぼそっと答えたんです。







それを見て…



ふぅ…

と軽くホッとするオッサン…。

これ以上ダンマリを続けられたら、
ますますお父様のご機嫌が悪くなって、
どうなるかと思ったじゃねぇか。
ヽ(;´Д`)ノ

あ~ん、さすがお母様~♪

って胸を撫で下ろしたオッサンの横で
お父様が言います。





「お前はバカか?
今日結果が出るのはAだけじゃないことは
お前だって分かってたはずだよな?

というか、お前が急にいなくなって、
お母さんがどれだけ心配したと思ってるんだ?

それに、ヒカル君にまで迷惑かけて…
ヒカル君だって毎日大変な仕事をしてるのに、
お前のことが心配で仕事どころじゃなかったはずだぞ?」





あ…(汗)



わ、私のことはいいんです…

娘さんの誘惑に負けそうになった
しょうもないオッサンのことなんか、
気にしないでください…_| ̄|○ililil








「ホントにお前ってやつは…

どれだけ人騒がせなんだ?

自分の都合で人を振り回してばかりいて、
子供っぽいのもいい加減にしなさいっ!!





再び娘を厳しく叱咤するお父様のお怒りの声に…




思わずぶるぶるっと小便を漏らたオッサンが、

静香ちゃん、こんな風に怒られたら、
ますます泣きじゃくっちゃうんだろうなぁ…

って心配になって、
チラッと彼女のほうに目をやったとき…











































「…でしょ…」

























へ?







はっきり聞き取れなかったけど、

誰の声か?といえば、
間違いなく静香の声だったと思う。














「なに?」



お父様が…

語尾を上げて、怒り気味に問いただすと、




「だって…」



ここで、いったん言葉を止めて、

大きく息を吸い直した静香が言いました。






いや…







言った、というより…



叫んだ…って言うべきなんだと思う…





「だって…







































しょうがないでしょ?!
第一志望に落ちたら、
せんせぇと別れさせられるんだよ?

分かってる?
私とせんせぇ…
無理矢理別れさせられるんだよ?

それが分かってて…
おとなしく家に入られると思う?

そんなわけない
じゃんっ!!」






「お前っ…」



「私とせんせぇが
どれだけ愛し合ってるか分かってる?
これだけ想いあってるか分かってる?

なんで?
なんでお父さんの都合で
別れさせられなきゃならないの?

こんなに好きなのに
どうして別れなきゃいけないの?

やだよ、そんなの。
絶対いやだよ。

せんせぇと別れるぐらいなら、
こんな家でていくもん。
勘当されたっていい。

私はせんせぇが好き。
せんせぇが必要なの。
どんなことがあったって、
私は絶対にせんせぇと
別れないっ!!


















しず…か…

































そして…







いつものように、頬に流れる涙。








お父様は…


一瞬、あまりの娘の気迫に押されて、
うぐっとなった感じだったけど、

すぐに冷静な物言いで反論してきました。






それは…

今、感情的になってる娘に
感情的に娘と同レベルで怒鳴りあっても意味がないことを
これまでの経験で痛感しているからなわけで…



ええ…

何度も何度も痛感しましたもんねぇ…








「静香…
今回のことは、お父さんとヒカル君の間で
約束したことだぞ?
お互い納得しあったうえで決めたことなのは、
お前だって知ってるよな…?」



「………」



「もともとお前たちの交際には反対していた。
あのときも認めるつもりなんて全くなかった。
お前は、今、交際を認められてる気になってるみたいだが、
まだ認めた覚えはないぞ?」



「………」





静香は…

なにも言わないままでいる。

いや、言わない、んじゃなくて、言えないんだ。

お父様のおっしゃるとおりで
反論できる材料なんてどこにもないのだから…







「あのとき、ヒカル君が私に言ったことは覚えてるか?
私にチャンスをくださいって言ったんだ。
第一希望の大学に必ず合格させてみせるから、
家庭教師をさせてください、ってそう言ったんだ。

で、そのときの経過を見た上で、
交際を認めるか否か、私に決めてくれ、
そう言ったんだぞ?

ヒカル君、間違いないよな?」




「え?! あ、は、はい…(汗)
そ、そうです、間違いないデス…」



突然ふられて、どもるオッサンです…(ひ~っ)
こんな緊迫した場面で俺にふるんじゃね~!!(汗)




すると…

今まで黙っていた静香ちゃんが、

返事をしたあと、また亀のように首を縮めて
様子伺いに入った俺の前で…



「確かにそうかもしれないけど、
でも、やっぱずるいよ!!
最初、第一希望はBだったんだよ?
なのにお父さんの勝手で、
あんな難しい大学に第一希望あげられてさ。
どう考えたってずるいじゃん。
私たちの交際を邪魔するために、
わざと偏差値の高い大学にしたんじゃないの?」



なんて反撃開始しちゃったんで~す!!!




ってこら~~~っ!!
静香ちゃんってばっ!!(大汗)
それはいくらなんでも言いすぎでしょ(汗

ヽ(;´Д`)ノ



いやまぁ、俺もずっとそう思ってたけど(おいっ)






それに対し、お父様は…


少しは困った顔をするのかと思いきや、

まったく平然とした様子で、こうおっしゃったんです。






「お前はどこまで子供なんだ…。
娘の大事な進学先を決めるのに、
そんなくだらないことを理由に決めると
本気で思ってるのか?
親が本気でそんなことをすると思ってるのか?」



お父様の真面目な顔つきに…

静香ちゃんも…



「………」



何も返せるわけがなく…



「確かに第一志望を上げてみたらどうだって
言い出したのはお父さんだ。
だけど、強引に決めたわけじゃないよな?
静香、お前に相談したぞ?
成績が上がってきてるし、
思い切って挑戦してみたらどうだ?って
相談したはずだよな?
そしたら、お前、なんて言った?

『うん。私もA大学に行きたい。
思い切って挑戦してみる』

そう言ったんだぞ?
まさか忘れてなんかいないよな?」













なんていうか…





全然勝負にならなかった。













「高い偏差値の学校に志望を変更したのに、
リリィのことで勉強しなかったよな?
一度は大学受験もやめるって言ってたよな?

あれも全部お父さんが悪いのか?
病気のリリィを家に連れてきたお父さんが
何もかも悪いのか?」





静香は…



「リリィ…」



と一言蚊の鳴くような声でぼそっと口にしたあと、

あとは観念したかのように、
だら~っと首を下にうなだれるだけでさ…










いつものように『好きだ好きだ』って
感情的に突っ走る静香に対し、

しかるべき正論を口にするお父様。



これを勝負というのであれば…

赤子の手をひねるような勝負だった。










ポタポタと涙をたらす娘に対し…





「静香…

お父さんは…
なにもお前を悲しませようなんて思ってないよ?

お前に意地悪したくて
あんな約束をしたわけじゃないんだ」




そう言ったあと、

なにを思ったのか、不意に顔の向きを変えたかと思うと、







え…?!





なんと俺のほうへ目を向けてきたんです。


完全に俺と目があっちゃってます。





ええ?!


えええええええ?!


な、なになになになに?!
(゚Д゚≡゚Д゚)










そ、逸らしたい…(大汗)


だけど、逸らせない…

という非常に困った状況で、
冷や汗をたらしまくっているオッサンに向って、


お父様が言いました。




ええ…










ゆっくりと…
(いや~ん。ジラさないで~)















「ヒカル君…

君にも一つ聞いておきたい…」




ドキッ!!!
(;゜Д゜)




「は、はい…」




「君は…

あの約束のことをどう思ってる?」




「え?」




「君は、第一希望に合格させるという約束を
果たすことが出来なかった。
それに対し、君は…

どう思ってる?」






















お、俺は―――



































「娘ももう18歳だ。
法律で結婚も許された歳だ。
親が交際を禁止とか言っても、
さっきみたいに家出とか勝手をすれば、
親もコントロールできなくなる。

もし、君がね…
私との約束を破って、
娘を連れていくっていうんなら、
それはそれで構わないと思ってる」




え………




「もちろん、そのときは娘とは縁を切る。
親子の縁を切らせてもらうよ。

親を捨てて君を選ぶんだ。
それぐらいの覚悟はしてるだろう」





そん…な…






「君の忌憚ない意見を聞かせてくれないか?
君が望むようにしよう…」













俺が望むように…?




って、それは…


俺が静香を連れていくことを望めば、
お父様に殴られたりすることなく、
堂々と連れていけるってことか?
















それは…








どれだけ望んでいたことだろう…





















静香と一緒に暮らす日々。






彼女が第1志望に落ちた今となっては、
もう絶対に訪れることのない夢だと思ってた。





なのに…



突然降って沸いてきた未来への光。


















静香が…




俺のことをじっと見ていた。










「私を連れてってくれるよね?」



必死にそう言ってるように思えた。





































俺…は…













































「私は…

あの約束については、
私にもずっと思ってることがありました。

私は…」





次回も…

24時間期間限定公開です!!

あと数回で24時間も終了デス。
もうちょっとだけお付き合いしてネ。


【問題】

「私は…静香さんを…」

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