食ニュース「禁断の味」ずらり 毒なしフグの肝試食会 長崎2008年02月09日 猛毒を取り除いたフグ肝料理の試食会が8日夜、長崎市内であった。養殖トラフグの水揚げ全国一の長崎県で肝の食用化を目指そうと、水産団体などが主催。長崎大の研究グループが特許を持つ養殖法で育て、無毒化されたフグを使用。刺し身に酒蒸し、西京煮、カルパッチョと、様々な「禁断の味」がずらりと並んだ。 観光や水産関係者ら約40人が参加した。万全を期すため、大学側が猛毒テトロドトキシンの有無を検査した。市内のしにせホテル、矢太樓(やたろう)の村木営介社長は「脂が乗って、味も濃厚で驚いた。うちの夕食に出したい」と舌鼓を打った。他の参加者も「濃厚で口当たりがいい」「ぜひ食用化すべきだ」と話した。 フグは海底のヒトデや貝などを食べることで肝に毒をため込むとされる。研究グループは「海底から離れた海面で育てれば、毒を持たない」と考え、80年代後半から研究を始めて養殖法を確立した。 食べる習慣の残る地域もあるが、フグ肝の販売や食用化は食品衛生法で禁じられている。佐賀県嬉野市は構造改革特区として地域限定でフグ肝解禁を求めているが、国は認めていない。長崎でも水産関係者の間で「肝を有効活用し、地域活性化につなげたい」と食用化への期待は根強い。 研究グループの中心になり、現在は東京医療保健大学教授の野口玉雄さん(71)は「これまで捨てられる運命にあったフグ肝が安全安心でおいしい資源に生まれ変わった。国は気軽に食べられる環境を整備すべきだ」と話した。 |