【中日懇話会】第408回 『戦争現状 知る必要』 ジャーナリスト広河氏が講演2009年3月
第408回中日懇話会(中日新聞社主宰)は12日、名古屋市中区の名古屋東急ホテルであり、フォトジャーナリストで月刊誌「DAYS JAPAN」編集長の広河隆一さんが「パレスチナ紛争を追い続けて40年」と題して講演した。現場の現状と報道のギャップに触れ「知らなくてはいけないことを知らされているか」と問い掛けた。講演要旨は次の通り。 【メディアを作る】 米中枢同時テロ後、アフガンに行き、イラク戦争中のイラクに行った。そこには、フリージャーナリストが現場の実況中継係にされていく現実があった。イラクのホテルでも、米軍が進軍してくる様子が断片的に入ってきたが、日本ではまったく報道されていないことを知った。 現場で取材し伝えようとするフォトジャーナリストはいる。だが発表の場がない。自分たちの手でメディアを作りたいと強く思い、イラク戦争から一年後に雑誌を発行した。 【原点は40年前】 大学卒業後、イスラエルに行った。すぐ第三次中東戦争が起き、勝利にわくイスラエルに違和感を覚えた。その中で、戦争に反対するユダヤ人の小さなグループに出会った。 そのグループが出した新聞広告がいつも胸にある。 「戦争に勝っても占領された人は必ず抵抗する。血で血を洗う歴史が繰り返される。それを避ける唯一の方法は、占領地より撤退すること」 今、ガザで起きていることも、イスラエル独立宣言に始まる60年前に原因がある。 戦車に追い掛けられて「これまでか」と思った時、パレスチナの青年が助けてくれた。現状を外に伝えるにはジャーナリストに頼るしかない。だから、命懸けで助けてくれる。現地の人と、気持ちが一つになって取材が成功することもある。 【知るべきこと知らされているか】 創刊号は、イラクで爆撃を受け足の骨が砕けた少女の写真を表紙に載せた。表紙に悲惨な写真を載せると日本では本屋に並ばない。だから「大義なき戦争」という文字で足を隠し、中にそのままの写真を載せた。見るのがつらくても、目をそらしてはいけないことがある。私たちは、知らなきゃいけないことを知らされているか。 人々の意志が戦争を止める日が必ず来る−。それをスローガンに活動を続けている。
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