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提訴:日本化薬姫路工場で派遣契約解除の男性「偽装請負状態で働いた」 /兵庫

 ◇正社員化求め提訴

 東証1部上場の化学品会社「日本化薬」(東京都)の姫路工場(姫路市豊富町)で請負や派遣で3年以上働いた末に派遣契約を解除された姫路市の男性(50)が6日、「偽装請負状態で長く働いた末に不当解雇された」として、同社に正社員としての地位確認と慰謝料200万円などを求めて神戸地裁姫路支部に提訴した。弁護士によると、9日にも名古屋、大阪両地裁に計4人が別の会社を相手取り同様の訴訟を起こす予定。【馬渕晶子、松田栄二郎】

 訴状などによると、男性は請負会社の社員として、05年6月末から姫路工場で自動車部品を製造。「偽装請負」の状態だったという。06年10月ごろからは派遣の形で働いていたが、昨年12月中旬、人材会社から「不況で生産量が落ちている」との理由で、今年1月末での契約打ち切りを通告された。

 男性側は「偽装請負期間を含めて派遣期間は事実上3年7カ月に及ぶ」と主張。労働者派遣法で定められた派遣可能期間の3年間を超えており、「派遣契約の解除は解雇に当たり、無効だ」としている。

 男性が所属する労働組合が人材会社に対し、日本化薬に直接雇用を要求するよう何度も申し入れたが、人材会社は応じなかったという。

 日本化薬広報IR部は「訴状が届いていないためコメントできない」としている。(一部地域既報)

 ◇「安心して働きたい」 提訴の男性、記者会見で訴え

 日本化薬を訴えた男性は提訴後、姫路市内で記者会見を開き、「安心して働き、暮らせる生活を取り戻したいだけだ」と集まった報道陣に訴えた。

 現在、姫路市で妻と2人で暮らす男性は、失業保険だけでは生活できず、今までの蓄えを少しずつ取り崩しているという。男性は契約解除について「嵐の海に人を突き落とすような行為は許されるのか。誰がこのような恐ろしいシステムを作ったのか」と批判した。

 会見に同席した弁護士は、正社員の指揮下で正社員と同じ勤務を続けた男性の状況について「典型的な違法派遣」と断言した。

 6日は日本化薬を相手取った提訴のほか、福井地裁でもパナソニック関連会社を訴える訴訟が起こされた。名古屋、大阪でも9日にそれぞれ訴訟が起こされる。

 一連の訴訟をとりまとめる村田浩治弁護士(大阪弁護士会)は「今年3月末以降に派遣労働者が一斉に派遣期限(3年)を迎えるのを前に、全国で同様の訴訟が増える」と予想。企業の論理で使い捨てられる労働者たちの身を案じ、「労働交渉の手段を得にくい、弱い立場の派遣労働者が訴訟を起こすのは、彼らの怒りがそれだけ強いということだ」と憤りを込めて話している。

〔播磨・姫路版〕

毎日新聞 2009年3月7日 地方版

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