梅田北ヤード知的創造拠点、芸術・技術融合めざす──15企画披露、事業化への道筋課題2009/03/13配信
同日、大阪市内で開かれた技術展示会「ナレッジキャピタル トライアル2009」には、企業や専門機関が研究開発する最先端のIT(情報技術)、ファッション、医療介護などの分野から、新産業創出や人々の暮らしに役立つ15の技術融合企画が披露された。 たとえば独立行政法人の情報通信研究機構(NICT)と宝塚造形芸術大学などは、裸眼のままで自動車やキャラクターなどの3次元の立体映像が画面から飛び出してくるディスプレーを公開。NICTが専用ディスプレー技術を開発、同大学生やゲーム会社社員などが映像コンテンツ制作をそれぞれ担当した。 上田安子服飾専門学校(大阪市)やITベンチャーのデジタルファッション(同)はパソコンに顔写真を取り込んで、背広やネクタイ、シャツを選びながら画面上で簡単に試着できる新システムや立体デザインシステムを開発した。
ナレッジキャピタルは先行開発区域の延べ床面積の2割弱を占める開発の要。2012年度下期の開業後は、研究者や企業家が集まるサロンや人材育成機能を備えたオフィススペースを設け、関西外を含めて技術や人材の交流を促す計画だ。 有識者ディスカッションに参加した建築家の安藤忠雄氏は「関西の大学を卒業した優秀な人間は東京で就職する。人材を逃さない魅力的な場にする必要がある」と強調。日本総合研究所の寺島実郎会長は「すごみのある情報集積と、日本の潜在力である技術をリンクさせたときに光を帯びてくる」とプロジェクトへの期待を示した。 地元経済界や自治体が「関西再生のシンボル」と位置づける一大事業の方向性は見えたが、新拠点の可能性を引き出す具体策が次の課題だ。
|
|