大阪中央郵便局の建て替え延期　東京中央局の行方見守る

　日本郵政は、昭和初期の代表的な建築として知られる大阪中央郵便局（大阪市北区）の建て替えを、当面見送る方針を固めた。鳩山総務相が１０日の閣議後会見で明らかにした。同郵便局は、日本郵政とＪＲ西日本が共同で１２年開業を目指し建て替える計画だが、東京中央郵便局の保存問題の行方がはっきりするまで着工しない。

　日本郵政は大阪中央局について０９年度の着工を目指していた。鳩山総務相によると日本郵政は「当面着工しない。東京中央局の計画見直しの結論を見る」と説明、鳩山総務相も了承したという。

　日本郵政の西川善文社長は３日の記者会見で、東京中央局について「登録文化財を望んでいない」と発言したが、世論の批判も懸念して方針を転換。９日に東京と大阪の再開発計画の見直しを総務省に伝えた。

　日本郵政は、東京中央局については設計を見直して局舎の保存部分を拡大。文化財としての登録をめざす考えだ。大阪中央局も、どのような建築手法ならば、文化財登録できるのかなどを見定めた後に着工するとみられる。

　日本郵政は「結論は早期に出ると見ており、大阪の大幅な着工遅れは招かないよう努める」と話す。

　大阪中央局は、東京と同じ建築家・吉田鉄郎が設計し、１９３９年に完成。周囲の再開発に合わせ、隣のＪＲ西日本の所有地とあわせ計１万３千平方メートルの敷地に地上４０階建て（高さ１８７メートル）の超高層ビルを建設。現在の建物のうち外壁などの２〜３階分だけを切り取り、新ビルの吹き抜け空間に移設する計画だ。

　オフィスや商業施設のほか、「東京ディズニーランド」（千葉県浦安市）を運営するオリエンタルランドが約１７００席の劇場を開設する予定だ。

　建て替えをめぐっては、日本建築学会が「戦前の日本における最も優れた建築の一つ」として、文化遺産として保存するよう求めている。

　鳩山総務相は「トキが焼き鳥になってはいけないが、剥製（はくせい）になって文化財として残る方法で再開発してもらう。すみやかに設計変更して欲しい」と会見で語った。（上栗崇、橋田正城）