県立医大(福島市光が丘)で9日、3月末で定年となる教授2人が最終講義に臨んだ。産科婦人科学講座の佐藤章教授(65)は「周産期学には分からないことが多く、ロマンがある。我々の所に来てほしい」と、産科医療への進路を医学生たちに呼びかけた。
佐藤教授は、医師らで作る「周産期医療の崩壊をくい止める会」の代表も務める。県立大野病院の医療事故では、業務上過失致死罪などに問われた産科医を支援した(産科医は無罪が確定)。
佐藤教授はこの日、学生ら約160人を前に講義。「そもそもお産は安全ではない」とし、人間が二足歩行になった影響で産道がカーブしていることや、胎児の頭が母親の骨盤より大きいことなどを解説した。講義後、花束を贈られた佐藤教授は「県内の産婦人科は危機的状況。お産は大変だが、若い人には誕生の喜びとプライドを持ってほしい」と話した。聴講した医学部6年、関野啓史さん(25)は「進路に産科医も考えているが、訴訟リスクが高いのがネック。講義は将来の道を決める参考になった」と話した。
同様に退任する病理学第2講座の鈴木利光教授(65)も、「Labyrinトンh--細胞が紡ぐ遠野物語」と題し最終講義をした。【今井美津子】
毎日新聞 2009年3月10日 地方版