救急医療体制の在り方を検討する「県救急医療協議会」(会長・伊東潤造県医師会長)は9日、救急患者を当番で受け入れる「輪番制」の強化などを盛り込んだ最終案に基本的に合意した。伊東会長は「これまで十分ではなかった病院間の連携を深めれば、救急搬送の時間を短縮できる」と説明。今年度中に報告書を完成させて、村井嘉浩知事に提出し、県のホームページなどで周知徹底を図る。【伊藤絵理子】
消防庁によると、07年の県内の救急搬送時間は平均35・8分(全国平均33・4分)。過去10年間、47都道府県中40~46位と低迷している。背景には、軽症者も含む救急搬送患者の急増や、県認定の「救急告示医療機関」が少ないことなどがあり、受け入れ先調整に時間がかかっていた。
最終案では、仙台市などで実施している「輪番制」の強化を提案。仙台では、当番病院7カ所が毎日2~3カ所ずつ救急患者の受け入れを担当するほか、19の協力病院が状況次第で受け入れている。しかし、人口当たりの当番病院数は政令市中最も少ないといい、特に患者の多い内科を中心に参加病院数増を目指す。
輪番制を取らない地域では、医療機関同士の連携を目指し、(1)専門分野を生かす(2)受け入れ日や重症度について役割分担する(3)軽症患者の受け入れを控える--などの調整を図る。また、重症度や緊急度に応じて他の医療機関に患者を振り分ける「管制塔」の機能を持つ病院を増やす。
また、アルコール依存症や支払い能力の無い患者などについて、県が財政的支援を行うことも検討課題として盛り込んだ。
初期医療に関しては、時間外の軽症患者で医師が疲弊している問題を受け、開業医の協力を得て、平日夜間の急患センター設置を促進する。国が今年度から創設した「救急患者受け入れコーディネーター制度」については、「医師不足の解消が先」などの意見があり、今回の導入は見送った。
毎日新聞 2009年3月10日 地方版