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益川教授「改憲は自由に兵器使うため」 9条に思い

2009年3月9日3時0分

写真:九条科学者の会「4周年記念の集い」で講演する益川敏英さん=8日午後、東京都千代田区の明治大学リバティータワー、小林裕幸撮影九条科学者の会「4周年記念の集い」で講演する益川敏英さん=8日午後、東京都千代田区の明治大学リバティータワー、小林裕幸撮影

 ノーベル物理学賞を受賞した益川敏英・京都産業大教授(69)が8日、東京都千代田区の明治大で講演した。自身も呼びかけ人をつとめる「九条科学者の会」の発足4周年記念の一環。ユーモアを交えながら平和への思いを語った。

 益川教授は「改憲派は、なぜ憲法を変えたがるのか」という問いを何度も投げかけた。「ぼくは物理屋。因果律で考える癖がある。『なぜ』と。彼らは条文に不備があるからと言っているが、解釈改憲で自衛隊がソマリアまで行く時代。条文不備のせいじゃない。9条があったのでは出来ないことをやりたいからに違いない。つまり自由に兵器を使うということです」

 幼いころ名古屋で空襲に遭った経験を振り返った。名古屋大の先輩の被爆体験を話しながら、感極まって声を詰まらせた。「私は、子にも孫にもあんな思いはさせたくない。国家が国家の名のもとに始める戦争は嫌です。好きな人はやってください……あ、いや、それも困る」。ひょうひょうとした口ぶりに、床まで人で埋まった会場は、何度も笑いに包まれた。

 講演は約1時間。戦争は突然起きるわけではないと訴えた益川教授は「最終的には理性の問題です。一つのかけらを見た時に、人間としてそこから何を想像できるか。鋭い目を持てば戦争の予兆は見える。その時、反応しなければならない」と締めくくった。(谷津憲郎)

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