民主党の小沢一郎代表の元私設秘書で、次期衆院選道11区(十勝管内)から出馬する石川知裕衆院議員(35)=比例道ブロック=が8日、帯広市で国政報告会を開き、小沢代表の公設第1秘書が逮捕された西松建設の違法献金事件について釈明に追われた。同じ11区で9選を目指す自民党の中川昭一前財務・金融担当相(55)も同日、帯広入りし、「もうろう会見」による辞任について支持者への「おわび行脚」を開始。両氏とも衆院解散・総選挙へ向け問題の「火消し」に懸命だ。【田中裕之】
約160人が出席した石川氏の報告会。事件についての質問が相次いだほか、小沢代表が4日の記者会見で謝罪しなかったことに対する批判の声も上がった。石川氏は「謝るということは間違いを認めるととられかねない。本人としては強い意志を示すことが大事」と説明した。
石川氏は96~05年に小沢代表の私設秘書として経理などを担当し、献金の実態を知りうる立場にあった。報告会では「きちんと適正に処理をしている」と小沢代表の説明を踏襲したが、それだけに今後の事件の行方によっては石川氏自身が打撃を受けることにもなりかねない。中川氏の辞任で攻勢を強めていた矢先でもあり「本当に一寸先は闇。(黒と白が一気にひっくり返る)オセロゲームのようだ」と複雑な心境も吐露した。
一方、中川氏はおわび行脚の皮切りとして、自らが支部長を務める茶道裏千家淡交(たんこう)会帯広支部の総会に出席。約280人の前に憔悴(しょうすい)した表情で現れ、もうろう会見について「ひどい疲労の結果、たいへん不愉快、不可解な印象を与えたことを心からおわび申し上げます」と陳謝した。そのうえで衆院選へ向け「『みそぎ』とは身をそぐこと。身も心もそいで皆さまとともに頑張っていきたい」と支持を訴え、何度も頭を下げながら退席した。
中川氏の事務所によると、今後も頻繁に地元入りして支持者や後援会へのおわび行脚を続けるという。十勝連合後援会の高橋猛文幹事長は「(違法献金事件によって)風がやむものではなく、こちらも厳しいのは変わらない」と話した。
衆院道11区では両氏のほか共産党新人の渡辺紫氏(60)が立候補を予定している。
毎日新聞 2009年3月9日 0時43分