2009年3月8日19時44分
襲撃され6人が死傷したアントリム英軍基地=AP
【ロンドン=土佐茂生】英国・北アイルランドの中心都市ベルファストから北約25キロにあるアントリムの英軍基地で7日夜、何者かが発砲し、英兵2人が死亡、英兵2人と民間人2人が重傷を負った。当局者は、英国からの分離を求めるカトリック系過激派による犯行の可能性が高いとみて調べている。
英メディアによると、7日午後9時半ごろ、1台の車が基地入り口に停止。ピザの宅配と思い近づいた兵士らに車内から発砲したという。タクシーに乗って検問所を通過して発砲したとの情報もある。
北アイルランドでは、英国統治を望むプロテスタント系と、アイルランドへの帰属を求めるカトリック系が対立し、30年余にわたりテロが続いた。98年に当時のブレア英首相により包括和平合意が成立し、自治政府が発足した。
しかし、カトリック過激派のアイルランド共和軍(IRA)から分派したグループが今も活動し、2月には英軍基地近くで爆薬を積んだ車が発見された。北アイルランド警察のオーデ長官が6日、「安全度は過去10年で最悪」と発表したばかりだった。
ブラウン英首相は「いかなる殺人者も和平プロセスを遅らせることはない」とテロ行為を非難した。